「現状維持」を掲げる会社が必ず崩壊するワケ目標を「横ばい」とした途端に会社は終わる|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.15〕親子間の「伝わらない」には重大な原因がある「早く 現在の記事数:252927件

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「現状維持」を掲げる会社が必ず崩壊するワケ目標を「横ばい」とした途端に会社は終わる


「現状維持でよし」という目標を提示すれば、その目標が達成されることはおぼつかない(写真:Sergey Nivens / PIXTA)会社は成長しなければ、消滅するこの連載の一覧はこちら

松下幸之助の側近としてPHP研究所の経営を長くやってきた筆者の実感から言えることですが、経営者が経営を「現状維持でよし」と考え、そのような指示を出した途端、その会社は成長が止まります。それどころか現状維持もできなくなり、確実に衰退します。

売り上げ9億円、赤字経営の状態でPHP研究所の経営を引き受けました。そこから、社員が危機感をもってよく力を合わせ、汗を流し、努力してくれた結果、年々成果が上がるようになり、6年ほどで64億円の売り上げまで成長し、黒字経営になりました。

まさに「イケイケドンドン」という勢い。そのような勢いで成長発展するようになると、経営責任者の筆者は正直、怖くなりました。気が弱いので、すぐに反動が来るのではないかと、恐る恐るの思いになりました。

加えて、社員たちがそれぞれの仕事に、それこそ昼夜を問わず懸命に取り組んでくれている。寝食を忘れるような勢いで働いている。そのひたすらさを見ているので、社員のためにも、とにかくいったん、「踊り場」をつくろう思いました。それまで年々高く目標を提示してきましたが、その年度の目標は、前年度達成した売り上げ・利益と同額にしたのです。

社員たちは、その私の目標設定をどう感じたかはわかりませんが、その年度はスタート時点から明らかに様子が変わっていました。社員はそれぞれ相変わらず懸命に仕事に取り組んでくれています。前年と変わりなく、力を出していることは伝わってきます。

ところが、その社員の懸命な努力が、前年までのような成果に結びつかないのです。なにか、上滑りしている。走っている車のタイヤがスリップするような感じといえばいいのでしょうか。

当然、毎月の計画比が100を切る。このままでは、目標の「前年度横ばい」どころではなくなる。そこで、年度後半になって、さまざまな手を打ちました。結果的には、極めてわずかの上澄みでかろうじて目標を達成できましたが冷や汗ものでした。

なんとかなってよかったのですが、この経験から、「現状でよし」という目標を提示すれば、その目標が達成されることはおぼつかないということをはじめて理解しました。あのまま手を打たずに放置すれば、せっかくのそれまでの社員の汗は空回りし、以降ずるずると滑り落ち、PHP研究所は「元の木阿弥」になっていたかもしれないと思います。

もちろん、家族経営の会社であれば、それでも構わないかもしれません。零細企業などでは、家族の生活費確保を目的としている経営もあります。一定以上の規模になれば、番頭格の人をのれん分けという形で独立させていくような経営もあります。おおむね、老舗と言われるお店は料亭と言わず、菓子舗と言わず、いわゆる個人経営の会社は、規模を大きくすることをよしとせず、現状を維持することに徹する傾向があります。そのような経営もありますから、現状維持ということも1つの経営手法として、否定するものではありません。

しかし、ここでは多くの従業員が働く大企業について考えています。

年々、成長目標を提示することの重要性

「会社を成長させたい」「充実させていきたい」と思うのであれば、社員の汗を無駄にさせないためにも、年々、成長目標を提示することは極めて重要なことだと思います。

成長目標は、売り上げなどの量的目標に限りません。掲げる目標は「1人当たり利益」のような効率指標でもいいでしょう。商品の品質向上、事業内容の充実、新規事業への挑戦といった質的目標でもいいでしょう。

会社が大きくなってくると、いろいろと社内的にも、あるいは対外的にも、複雑かつ煩わしくなってきます。お客様からの厳しいクレームも多くなり、資金繰りにも大きく振り回されるようになります。そのようなことで、現状維持が精いっぱいということになり、もうこれ以上は、拡大も成長もしなくてもいいので穏やかに過ごしたい、というふうに思ってしまいがちです。なんとか現状を維持できればそれでいいと考えてしまう経営者は本当に多いのです。

しかし、そのように考えて経営を切り替えた途端、まず間違いなく坂道を転げ落ちることになるでしょう。会社を現状維持するということは、社員の給料も現状維持ということになります。給料以外の待遇を向上させることも不可能になります。あるいは待遇を引き下げる必要も出てくる。そうなると新人の雇用も抑えざるをえなくなる。社内の雰囲気も暗くなり、多くの社員がやる気を失います。

そうなると、せっかく取引していたお客様も離れていってしまう。売り上げも落日のごとく落ちてくる。赤字に転落して社員の給料も待遇も下げざるをえない。活躍してくれていた優秀な社員が、辞めていくようになる。

辞めていくのは、真面目で優秀な人たちです。このような経営状況になると、優秀な社員から辞めていくのが普通です。優秀な人材は、他社でも有為な人材として喜んで迎えられるからです。ならば、彼・彼女に代わるべき優秀な人材を募集しようとしても、縮小している会社、雰囲気が悪い会社、給料が上がらない会社に応募してくるはずもありません。中途採用の人材が優秀でないとなれば、企業は人なりですから、ますます衰退の一途ということになります。

さらに、そのようになれば、もう、よい商品を作り続けることも、新しいサービスを充実させることにも目が回らなくなります。それだけでなく、金融機関も融資をためらうようになり、経営危機に陥ります。

成長することで優秀な人材が集まる

ですから、現状維持ではなく、年々高い目標を設定していく必要があるのです。それによって、社員も汗を流しながらやりがいをもって、やる気を出し、成果を挙げる。成果を挙げれば、それが自分たちの待遇改善として跳ね返ってくる。跳ね返ってくるから、ますますやりがいが出てくる。次々によい商品、よいサービスが生まれるようになる。

そうなればブランド力がつく。ブランドが確立すれば、優秀な人材がおのずと集まってくる。集まってくれば、経営者は、方針さえ明確に出しておけば、彼ら優秀な人材、社員たちが自主的に、積極的に「手柄」を立ててくれるようになる。そうなれば、経営者は社員の後ろに立ち、全体を俯瞰的に見ながら経営を展開していけばいいのです。

気分的な余裕もできますから、「次なる経営展開」の余裕も出てきます。当然、社員の待遇も改善できる。会社はおのずと活況を呈してくる。営業もやりやすくなる。営業マンも、営業が面白くて仕方がないということになります。

最近でもこのようなことがありました。約70年ほど続くある会社が、7年ほど前、それまでの成長発展戦略をやめて、「もうここらあたりでいいだろう。成長拡大ではなく、現状維持でいい。普通の会社になろう」と新社長が社員に指示したそうです。この「普通の会社宣言」で、社員はほっとすると同時に気が抜けた精神状態になったようです。新社長は、社員の懸命さを哀れと思ったのでしょうか。あるいは、やさしさ(?)を示すことによって、社員の心を引こうと思ったのでしょうか。

黒字であったその会社は、その直後にあっという間に赤字に転落。以降、回復するどころか、今日に至るまで衰退の一途。社員の給料は大幅に減額され、事業縮小のスパイラルは止まっていません。

繰り返しになりますが、「現状維持は、縮小衰退を意味すること」を、経営者も社員も心しておきましょう。昨年より今年、今年より来年というように、着実に量的、あるいは質的な成長をする目標を立て、それを明確にする必要があるのです。そのことが、社員のやりがい、社員のやる気を引き出す「源泉」であることを、経営者は、よくよく心にとどめておくべきではないかと思います。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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