社長の役割とは「社員を感動させること」だどうすれば社員を感動をさせられるのか|マネブ

マネブNEWS:〔2017.08.23〕日本人女性に足りないのは「自己肯定感」だなぜ女性 現在の記事数:246213件

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社長の役割とは「社員を感動させること」だどうすれば社員を感動をさせられるのか


社員を「感動させる」とは、どういうことか?(写真:CHIRO / PIXTA)

社員を感動させる、周囲を感動させる、多くの人を感動させる――。このことは、経営において、極めて重要であると思います。感動は、相手を喜ばせるということではありません。喜ばせるというだけなら、なにか物をあげれば、喜ぶかもしれません。社員の給料を上げれば、社員は喜ぶだろうと思います。なにか助けてあげれば、相手は喜ぶでしょう。

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辞書にも、喜ぶとは「うれしく思う」、感動するとは「心が動く」とあります。

やはり、喜ばせる程度だけでなく、一歩深めて、社員を「感動させる」ことこそが、社長として、あるいは上司として心掛けるべきもっとも重要なことではないかと思います。

PHPで実施した「バースデー休暇制度」

PHP研究所社長時代、私も社員に喜んでもらうことをいろいろと実行しました。たとえば、「バースデー休暇制度」を実施しました。有給休暇ですが、公式の有給休暇とは関係なく、社員の誕生日の前後、1週間の期間で1日取ってもらうようにしました。社員は大いに喜んでくれましたが、もちろん、感動してくれる域まではいっていなかったと思います。

あるいは、物故した社員の、残されたお子さんたちには、大学を出るまで、小学生、中高学生、大学生と金額は異なりますが、奨学金を出す制度も実施しました。週1回ノー残業デーを強制的に設定し、また、法定残業時間の順守のため、毎月1回、社員との懇談会で確認、チェックする制度もつくりました。関連の大企業の、それぞれの同期より10%多く給料を支給することを実行したり、女子社員の積極的活用、外国人の役員登用(当時100%日本企業出資の会社で外国人役員はいませんでした)などにも取り組みました。

ほかにもいろいろなことを実施しましたが、しかし、こういうことは社員に喜んでもらう程度のこと。決して、感動させるというまでのものではありません。やはり、社員の心を揺さぶるような思い、言動によって感動を与える、社員に、そのような感動を与える経営をしなければ、会社は発展しませんし、成長充実も短命に終わってしまうでしょう。

それでは、感動を与えるためには、どうすればいいのでしょうか。

それは、やはり社員一人ひとりの人格を全肯定することに尽きるのではないかと思います。厚遇したり、おカネを与えたり、モノを与えるなどということでは感動させることなどできないのです。もちろん、そういうことも大事ですが、なによりも「相手を肯定すること」が重要です。

このことについては、山田無文という名僧の書かれた『中道をゆく』という書物の中に書かれている話があります。おおよその内容を引用します。

『中道をゆく』に描かれていること

昔、釈宗演(1860~1919)という人がいました。鎌倉の円覚寺の管長になった人ですが、少年の頃、京都の建仁寺という本山のなかの両足院という寺に峻崖(しゅんがい)和尚という名僧について勉強していました。

ある日、先生が外出されたので、座敷を掃除していた。しかし、いつの間にやら、縁側で大の字になって昼寝をしてしまいます。どれほどの時間が経ったのかわかりませんが、ふと気がつくと廊下の隅のほうでミシリミシリと音がする。フッと目を開けて見ると、先生が帰ってきた。小僧の釈少年は、“しまった”と思ったでしょう。

しかし、先生の顔を見て、急に起き上がるのも体裁が悪いので、狸寝入りをして寝たふりをしていました。すると、先生はだんだんとそばにやってくると、小僧の釈少年の目を覚まさせぬように自分の体をそっとよけて回り、枕元を通って自分の部屋に入るとき、腰をかがめて小さな声で「ごめんなされや」と呟いた。

それをもちろん、聞いていた。狸寝入りですから、前後不覚で寝ていたのではないのです。釈少年は、どんなに感激したでしょうか。どれだけ感動したでしょうか。普通であれば、「この横着もの!起きろ!」と足で蹴られても仕方のないところです。それを目を覚まさせないようによけて通り、おまけに目上の人か対等の人の枕元を通るときのように、腰をかがめて小さな声で「ごめんなされや」と言われた。俺をしからなかったな、俺を対等の人間に扱ってくれたな、俺の人格を認めてくれているんだな。釈少年は、感動します。

自分も勉強して優れた人になろう、ならなければ先生に申し訳ないと発奮します。それから、猛烈に勉強し、修行をして、わずか34歳の若さで鎌倉の円覚寺(臨済宗円覚寺派総本山)の管長になったということです(『中道をゆく』からのおおよその引用はここまで)。

感動させるということは、こういうことだと思います。心と心が触れ合うとき、人は感動するのです。口先で褒めまくる、物やおカネを与える、いい制度をつくるといった次元を超えなければいけません。いわば社員の人格を認めてすべてを肯定するときに社員は感動し、社内は一丸となって燃えるような組織になるのです。

社長が自分で入社させておきながら、ウチの社員は能力がない、バカだアホだと社員の人格を否定するに至っては、天に唾するようなもの。己の出来の悪さ、人格の低俗さを天下に公表しているのと同じです。どんな人間にも無限の価値があるし、誰もが高い能力を持っているのだ――。社長が、そういう謙虚な思いをもって社員と接すれば、そこに社員との心と心が触れ合いが生まれるのです。

仏教に「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」という言葉があります。山や川、草木のようなものまで仏性を有しており、成仏する、まして人間をや、ということでしょう。あるいは、「一切衆生悉く(いっさいしゅじょうことごとく)みな如来の智慧徳相(ちえとくそう)を具有す」と言っています。そのような信念を持って、社員と接するとき、感動が自然に醸成されてくるのではないでしょうか。

本田宗一郎さんとの思い出

本田宗一郎さんといえば、言わずと知れた「ホンダ」(ホンダ技研工業株式会社)の創業者です。ホンダがトヨタ、日産自動車と並んで、今日あるのは、この創業者のおかげです。本田さんは、創業から生涯にわたって一技術者に徹し、いつも工場で作業服を着て、社員と同じように振る舞っていました。どんな社員と接しても小馬鹿になどせず、ともに研究に、技術開発に取り組んでいました。その本田さんの態度が、ホンダの社員の心をとらえ、今なお脈々と、その感動が流れています。だからこそ世界のホンダとして大きな発展をしているのではないでしょうか。

私が大学生の頃、ある用件で本田さんに会いに行ったときのことが思い出されます。このとき、本田さんは応接間に作業服で現れ、若造の私にも気軽に(口調はそれなりに乱暴でもありましたが)、実に丁寧に話をしていただいたことを感動をもって思い出します。

口先・知識・理屈だけで経営をしていては、成功はおぼつきません。経営者たるもの、このことを肝に銘じるべきだと思います。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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