「英語がくどい!」と思われる人の落とし穴「いちばん最高峰」などと言っていませんか?|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.18〕「落ちこぼれを出さない」「読解力重視」…“学力世 現在の記事数:253049件

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「英語がくどい!」と思われる人の落とし穴「いちばん最高峰」などと言っていませんか?


「富士山は日本でいちばん高い山です」を英語にすると…?(撮影:尾形文繁)

「熱い熱湯」や「頭痛が痛い」、「犯罪を犯す」や「電車に乗車する」というような「重ね言葉」。明らかにおかしいと思うものから、ギリギリセーフと思えるものまでいろいろとありますが、皆さんは普段、目にしたり耳にしたりすることはありますか。ともすると、うっかり自分が使っているなんていうこともあるかもしれませんね。

実は、英語にも同じような「重ね言葉」に似た表現があるのです。日本語同様に、意味は通じるけれどなんとなく「違和感を感じて」、いや「違和感を持って」しまうような表現です。口語的に見れば、絶対に間違いというわけではないのですが、この英語の「重ね言葉」、使い方によってギリギリアウトなこともあるようです。

特に、ものごとの程度の話をするときに使われることが多いのですが、いくつか一緒に見ていきましょう。皆さんも、知らずに使っているものがないか、ぜひチェックしてみてください。

日本で「いちばん最高峰」なのは? 世界では?この連載の一覧はこちら

「いちばん最高」というのは日本語の重ね言葉で、やはりこれも文法的には間違いなのだそう。「いちばん」と「最」は同じ意味なので、重ねてはいけないということらしいのです。まあ理屈はともかく、やはり聞いても読んでも、確かに違和感がありますよね。

でも、口語でよく耳にする「いちばん最初」という表現は、あまり変な感じがしないのですが、単に遭遇頻度の問題なのでしょうか、それとも、筆者の日本語がもはや崩壊しているのか……。それはそうとして、英語の重ね言葉を紹介する前に、ひとつだけ興味深いお話をさせてください。

日本最高峰といえば、もちろん富士山の剣ヶ峰。もし、「『富士山は日本でいちばん高い山です』を英語にしてください」と言われたら、皆さんはどんな英文にしますか。

Mount Fuji is the highest mountain in Japan.(富士山は日本でいちばん高い山です)

というのが、多くの日本人が思いつきそうな標準的な言い方かと思いますが、どうでしょう。皆さんもこんな英文が思いつきましたか?

先日、筆者もなんの疑問もなく、山の描写にhigh(高い)という形容詞を使って話していたら、アメリカ人の同僚ジョンに「それは間違っている」と直されました。ジョンによると、山にはtallを使うのが正しいのだとか。とすると、この文も

Mount Fuji is the tallest mountain in Japan.(富士山は日本でいちばん高い山です)

と言うべきなのでしょう。

それまで、中学校で教わったとおりにhighを使ってきましたし、留学中や赴任中にネーティブと話していても直されたこともなかったので、ちょっとびっくりしてAre you sure?(ホントに?)と聞き返してしまいました。ジョンは「これまでずっと山にはtallを使って生きてきた」と絶対の自信がある様子。ネーティブにそこまで言われるとねぇ……。

でも、ジョンが正しいのだとしたら、筆者も含めて多くの日本人が間違って覚えている可能性が大きいということ!「これは一大事だ!!」と思いつつも、「ネーティブはよく使うけれども、実は間違い」という可能性もあります。

tallが使えるとしても、さすがに「highは間違い」というのはありえない気がして、「じゃあ、tallでもhighでも、どっちを使っても合ってるのかもよ」と言ってみたのですが、「山にhighなんて使わない」とまで言うジョン。ホントかなあ……。そこまで言い切られると、逆に怪しい。これは、単にジョンの英語が崩壊しているという可能性も(笑)?

エベレストよりも高い山

筆者があまりに疑うので、不安になったのか、一緒に英英辞典を引いてみることになりました。すると、辞書の例文のひとつめに a high mountain って書いてあるではないですか! See? (ほらね?)と言うと、「これはおかしい」と不服そうなジョン。悔しかったのか、そのまま周りのネーティブたちに話しかけに行きました。筆者も一緒についていって、事情を説明し、どっちを使うか尋ねてみると、面白いことに4~5人のネーティブだけでもhigh派とtall派の両方がいたのです。

彼らといろいろ話し合った結果、きっとどちらもOKなのだろうという結論に。ジョンも渋々納得した様子でした。その後もしばらく、tallとhighの使用方法について話し合ったり、調べたりしました。どこまで正しいのかはわかりませんが、ある情報によると、細かい定義ではhighは地面や海面からの距離を表していて、tallは対象物の最下部から最上部までの距離を表しているのだとか。

つまり

The highest mountain in the world is Mount Everest. (世界で標高がいちばん高い山はエベレストです)

とは言えますが、the tallest mountainはエベレストではなく

The tallest mountain in the world is Mauna Kea. (世界で山そのものがいちばん高い山はマウナケアです)

というのが正しいことになるのだとか。ハワイにあるマウナケアの麓(ふもと)は海底にあって、そこから頂上までの距離を高さとすると、エベレストよりも高くなるようです。

でも、誰ひとりとしてそんな風にtallとhighを使い分けてはいないですよね(笑)。tall派のネーティブたちに、But you say that Mount Everest is the tallest mountain in the world, right? (でも、エベレストが世界でいちばん高い(tall)山って言ってるんだよね?)と聞くと、困った顔をしながらうなずいていました。実際に使うときには、その意味の差を意識して使うことはないようです。

さらには、海面や地面ではなく、地球の中心点からの距離で高さを考えると、エクアドルのチンボラソがhighestだという情報も……。地球自体が完全な球体ではないので、赤道近くにあるチンボラソのほうが、エベレストよりも宇宙に近いという意味ではhighestらしいのです。なんだか、これはもう英語の話ではなくなってきましたね……(笑)。

でも山の他にも、建物にはtallを使う人のほうが多かったり、壁はみんなhighしか使わなかったり……。身近な単語の使い方をじっくり研究するだけでも、なかなか面白いものですね。

そもそも、なぜこんな山の話になったかというと、「重ね言葉」のことをジョンに話そうと、話を始めたときに英語を直されたからなのです。ジョンに話そうとしていたのは、あるメーカーに勤務するタロウさんと話しているときに気がついた英語の重ね言葉です。

高価な値段

タロウさん、ゴールデンウイーク中に友だちと富士山に行ったらしいのです。そのときの話をしてくれたのですが、その中で登山の記念に売っている金剛杖の話が出ました。富士登山をした方はご存じのように、富士山では杖を買って途中の山小屋で、記念に焼き印を何度か押してもらうのですが、焼印を集めるのにおカネがかかるので、最終的には意外に高くついてしまうということでした。

この説明でタロウさんが重ね言葉を使ったのです。

× The price of the walking stick was expensive. (その金剛杖の価格は値段が高かったです)

対訳を見てわかるように、expensiveは「値段が高い」という意味。つまり、price(値段)の「値段が高い」というのはおかしいのです。

また、一緒に行った友だちの「歩くスピードが速くて疲れた」と言うときにも重ね言葉が……。

× His walking speed was really fast. (彼の歩く速度はすごく速度が速かったです)

fastも「速度が速い」という意味なので、walking speed(歩く速度)の「速度が速い」というのは、少し妙なのです。こういった程度を表す表現では、high / lowを使うことが多いのです。正しく言うなら

The price of the walking stick was high.(その金剛杖の値段が高かったです)His walking speed was really high. (彼の歩く速度がすごく速かったです)

とするべき。でも、このようにpriceやspeedを主語にした言い方は、日常会話ではあまり自然ではありません。通常は

The walking stick was expensive. (その金剛杖の値段が高かったです)He walked really fast. (彼の歩く速度がすごく速かったです)

のように言います。もちろん、文脈によっては、そういう言い方をしてもおかしくないことはありますが、日常会話であれば上記のような言い方をお勧めします。

次のような例も一緒に覚えておくといいでしょう。

× The temperature of the water was very hot. (そのお湯の温度はとても温度が高かった)× The taste of the dish was delicious. (その料理の味はとても味がおいしかった)

temperature(温度)も high/lowで表し、taste(味)は good/badで表すのが普通です。でも、いちばん自然な言い方は

The water was very hot. (そのお湯はとても熱かった)The dish was [ delicious / very good ]. (その料理はとてもおいしかった)

で、やはり主語にtemperatureやtasteを使わないほうが一般的です。ただ、これらの重ね言葉はネーティブでも使うことがあるようで、もちろん個人の感覚にもよりますが

△ The weather was rainy yesterday. (昨日、天気は雨模様でした)△ The volume of the TV was really loud. (テレビのボリュームがとても大きい音量だった)

あたりは「ギリギリセーフ」と思う人もいるようです。厳密には

It was rainy yesterday. (昨日は雨でした)The TV was really loud. (そのテレビは、音量がとても大きかった)

のように、天気は主語を it にし、loudは「音量が大きい」という意味なので、主語にvolume(音量)を使わないのが通常です。どの重ね言葉は明らかにおかしくて、どれは意見が分かれて、というのは、日本語の重ね言葉のようにさまざまな要因によって決まるようなので、一概に言い切れないのが悩ましいところです。

ひととおりこんな説明をすると、タロウさんが「先生が言った、日本語の『速度が速い』も重ね言葉じゃないですか?」と聞いてきました。確かにそうですよね。でも、他に言いようがない気もしますが、皆さんはどう思いますか。「高速」と言いますので、本当は「速度が高い」が正解? 「速度が大きい」はおかしい気がしますし……。やはり「速度が速い」がいちばんしっくりくるのですけれど。「速度が急」と言うのがいいのでしょうか? 「急スピード」とも言いますしね。反対だったら「ゆるやか」ですかね……?

そう考えると、日本語も難しい! 角度は「大きい」ですけど、密度は「高い」ですし、可能性は「大きい」でも「高い」でもいい気がします。いや、角度は「広い」ですか? 謎は深まるばかりです。

語順が変わると「許容度が高く」なる!

そんなタロウさんとのhigh and tall話をジョンにしたところ、「重ね言葉はおかしい」と、今度はジョンも同意してくれました。「そもそも The price is… とか、The speed is… とか、そんな言い方自体が日本語っぽくておかしいけど」と言うので、それもちゃんと伝えたと言うと That’s good. (よかった)と安心していました。

ただ、やはりThe weather is sunny. (天気は晴れ模様)とか、The volume was loud. (ボリュームは音量が大きい)など、いくつかの重ね言葉については、何度も言いながら悩んでいました。「大丈夫なような、おかしいような……」とネーティブでも断言できない様子。まさに日本語と同じ感じですね。筆者も、日本語の「速度が速い」は判断に迷いますし(笑)。

するとジョンが、「でも、なぜか 〔重ね言葉の形容詞〕+〔名詞〕 のフレーズにすると、違和感が少なく感じる」と言うのです。

どういうことかというと、

× His walking speed was fast. (彼の歩く速度がすごく速かったです)○ He walked at a fast speed. (彼は速いスピードで歩いた)

のように at a〔重ね言葉の形容詞〕+〔名詞〕 の形だとあまり違和感がないと言うのです。もちろん、at a fast speedではなくat a high speedとhigh / lowを使うのが正式なのかもしれませんが、この形ならfastとspeedが重ね言葉になっていてもおかしく感じないのだそう。他の例も見てみましょう。

at a fast speed(速いスピードで) = at a high speed (高速で)at an expensive price(高価な価格で) = at a high price (高い価格で)at a cold temperature(冷たい温度で) = at a low temperature (低温で)at a loud volume(大音量のボリュームで) = at a high volume (大音量で)at a young age(若年の年齢で) = at an early age (若年で)

なぜ、The〔名詞〕is〔重ね言葉の形容詞〕. はおかしくて、at a〔重ね言葉の形容詞〕+〔名詞〕となると大丈夫なのか聞いてみたのですが、理由はわからないとのこと。もしかしたら、重ね言葉だけの問題ではなく、そもそもThe〔名詞〕is〔重ね言葉の形容詞〕. という言い方自体がおかしく感じるので、重ね言葉との相乗効果で違和感が増すのかもしれませんね。

意識すればするほど…この連載「企業向け英語研修の達人が教える『実践!伝わる英語トレーニング』」が『これを英語で言いたかった!』(IBCパブリッシング)という1冊の本になりました。全国の書店またはオンライン書店でお求めいただけます(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ジョンも今まであまり意識していなかったそうですが、at a〔重ね言葉の形容詞〕+〔名詞〕 の形であれば、自分でも言っているかもしれないとのこと。

この重ね言葉、ネーティブでも使用するくらいですから、そこまで神経質になる必要はなさそうですが、意識すればするほど、やっぱりくどい感じがするのは日本語と同じなのでしょう。

「くどい」で思い出したのですが、大学生の時に筆者もそんなコメントをイギリス人の教授からもらったことがありました。あるレポートを提出した際に、評価ではAをもらったのですが、教授から「くどい」ってコメントがデカデカと書かれていたのです……。

ジョンにその話をすると、笑いながら「カツ(=筆者)っぽいエピソードだね」と言うのでWhat do you mean? (どういう意味だよ?)と聞き返すと、急に黙り込んでそそくさといなくなってしまいました……。What does he mean? (どういうこと?)

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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