松下幸之助「2代目はとにかく謙虚であれ」経営の神様が語ったこと|マネブ

マネブNEWS:〔2017.07.25〕「実はとてもかわいそうな人」 ムカつく上司と出会 現在の記事数:244421件

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松下幸之助「2代目はとにかく謙虚であれ」経営の神様が語ったこと


後継者は権威の活用ということをせんといかん(写真:東洋経済写真部)江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

 

もうそろそろ夕方になってきたな。植木屋さんたちは、まだ仕事をしとるな。いつごろ終(しま)いにするんやろうか。うん? あと1時間はする? そうか。えらい熱心やね。

しかし、やっぱり、植木の手入れをしてもらうと、ずいぶんと景色が変わるな。お茶のおかわり、頼んでくれや。ほんま、きょうは、こんなにゆっくりするのは、仕事をしだしてから、はじめてやな。覚えがないな。

2代目は創業者や先輩諸氏に意見を求めるべきこの連載の一覧はこちら

2代目の後継者ね。後継者がどんなことを心掛け、考えんといかんということね。それはひとつはな、なんというても謙虚であらねばならんということや。

そのためには衆知を集めるというか、創業者や先輩諸氏に意見を求めるというか、そういうことをせんといかんわね。

というのはね、創業者というのは、いわば、無から有を創り出したわけや。なんもなかったところに、ひとつのお店なり会社を創ったわけやから、自分が創ったという意識が強い。当たり前のことやな。

それだけではない。創業者に対しての、周囲の人たちの気持ちというものも相当尊敬というか、敬意を払うというか、そういう思いが強いわけや。また創業者と一緒に努力してきた人たちも創業者を中心にして自分たちもお店を、会社を創ってきたという、強い意識がある。

そういう中で、事業を引き継ぐのであるからして、2代目の人は、腰を低くして、創業者や先輩諸氏から教えを請うといった姿勢がなければならんのや。

それを、自分が事業を引き継いだのだから、もう、このお店は、会社は自分の考えで、自分独自の方針でやります、周囲の意見は聞きません、というようなことになれば、これは創業者も先輩もいい気分にはなれんわな。

なにを言っておるか。若いのになにを威張っておるのかということになる。そういう反感がでてくれば、やりたいことも、やらなければならないことも、思うようにできんということになる。

いや、みなさんの協力をいただかなければ、私は経営を円滑に進めていくことはできません、ご指導ください、お力をお貸しください、ご助言ください。謙虚に、そして腰を低くして教えを請うという雰囲気であればかえって、いやいや、きみもしっかりしているし、実力もあるのだから、思う存分やればいいよ、ということになる。それが人情というものやな。

創業者や先輩の権威を積極的に活用せよ

謙虚に振る舞えば、先代の、また先輩の力や気持ちを自分の都合のいいように集めることができるわな。そういうことをせんと、いかんわけや。とにかく、先代を、また先輩を自分の強力な応援団にするためにも、創業者に、ま、先代やわね、あるいは先輩諸氏に謙虚に振る舞うということが、とにかくまず大事なことやな。

そして、こんどは、その創業者や先輩の権威を積極的に活用することや。自分がこう思うというより、創業者はこういうふうに言うてますよ、こういう考え方ですよと社員に話をする。自分の考えを、創業者の言葉を借りて話をする。

社員のほうも創業者の人もそう言うてるのか。そうか、そうであるとすれば、がんばろうということになる。それだけではない、創業者の考えを、こんどの新しい社長はよく理解しているということになる。ああ、えらい社長やな、りっぱな人やということになる。あるいは、こんどの社長は衆知を集めて経営を進めるらしい。自分たちの話も聞いてくれるらしい、という気分にもなる。そんなもんやで。だから、先輩の、とくに創業者の権威をおおいに活用できるかどうかやね。

徳川幕府が300年も続いたと。それはな、2代目の秀忠がことあるごとに、ご神君は、家康公はこういうことを言うておられた、こういう考え方であったと言い、あとに続いた将軍たちもそれに倣って、同じようにご神君は、家康公はと言うたからや。権威の活用がいかに有効かということやな。

そういうことによってまた、ひとつの組織の中心が動かん、座標軸が動かんということになるわね。つねに同じところから出発できるから、組織全体が動揺せんということもできるわけや。そういうことで、2代目というか、後継者は権威の活用ということをせんといかんわな。

創業者の経営理念を研究し体系化せよ

3つ目は、経営理念を精緻に研究、体系化することや。というのはな、創業者というのは、仕事を成功させるために、まあ、いわば、昼夜兼行でがむしゃらにやるわけや。そのときに経営理念をまとめる余裕もない。必死に仕事に取り組んでおるというのが通常の姿や。あるいは、その創業者の存在そのものが、そのまま経営理念ということができるから、わざわざまとめんでも済むというところがある。

ほんとうはまとめたほうがええんやけど、まあ、そういうことになる。で、まとめられておらんと。まとめられておっても、おおまかであると。そこで2代目の後継者は、その創業者の経営理念を研究し体系化するという作業をせんといかんわけやな。

どうして体系化せんといかんか、文章化せんといかんかというと、考え方、思いというのは、ちょうど水のようなもんや。水であるからして料理もできるし、物も洗うことができる。しかし、その水のような状態では、次の人、隣の人に一滴も漏らさず手渡しすることはできんわね。

そこでどうしたら水を一滴も漏らさず手渡すことができるかといえば、その「水」をいったん凍らせ、「氷」にすることや。そやろ。氷にすれば漏れることはない。その水を凍らせる作業、氷にする作業、それが経営理念の体系化、文章化ということになるんや。それを後継者はやらんといかん。

しかし、このことからもわかることは、文字に書かれた経営理念というものは、いわば、氷であるということを知っておらんといかんわな。文字に書いてあります。ここにこう書いてあります、と言うことではいかんわけで、それでは氷でご飯を炊いたり、料理をしようとするのと、なんも変わりのない愚かなことや。氷は1度溶かして、水にして使わんといかん。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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