『刑事ゆがみ』、最後は浅野と神木の立場が逆転?「ゆがんだクライマックス」に期待|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.14〕「ジャスティス・リーグ」に見る米映画の潮流ヒーロ 現在の記事数:252855件

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『刑事ゆがみ』、最後は浅野と神木の立場が逆転?「ゆがんだクライマックス」に期待


神木隆之介 今期のドラマは異色作が多いが、そのなかでもずっと気になって注目しているのが、フジテレビ系木曜夜10時から放送されている『刑事ゆがみ』だ。

 ドラマ化もされた『弁護士のくず』(小学館)などで知られる井浦秀夫の漫画をドラマ化した本作は、神木隆之介が演じる若手刑事の羽生虎夫と、浅野忠信が演じるうさん臭い刑事・弓神適当がコンビを組んで事件を捜査するバディものである。

 見どころは神木隆之介と浅野忠信という二大俳優の掛け合いで、まじめで純粋な刑事の羽生を、捜査のためなら平気でルール違反を繰り返す弓神がヘラヘラと笑いながら翻弄していく姿が実におもしろい。弓神は犯人よりもヤバい奴で、狂った刑事が心の弱さから罪を犯したまじめな人々を容赦なく裁くという、文字通り“ゆがんだ”話となっている。

 演じる俳優はゲストの女優陣も含めてみんなすばらしいのだが、なかでも浅野忠信はここ数年でもっとも輝いている。

 もともと浅野忠信は、1990年代に岩井俊二の『PiCNiC』(日本ヘラルド映画)や井坂聡の『Focus』(エース ピクチャーズ=シネセゾン)、石井克人の『鮫肌男と桃尻女』(東北新社)といったサブカル系のマイナー映画に出演し、肩の力が抜けた脱力系の演技で注目を浴びた俳優で、付き人だった加瀬亮を筆頭に、後続の若手俳優に大きな影響を与えている。

 近年は『マイティ・ソー』(パラマウント映画)や『バトルシップ』(ユニバーサル・ピクチャーズ)といったハリウッドの大作映画にも出演するなど、日本を代表する俳優となり、カルト感のある演技は抑えめとなっていたが、『刑事ゆがみ』の弓神は「久々に90年代の浅野忠信が戻ってきた」という感じだ。

 一方、羽生を演じる神木隆之介は、最初は「まじめで正義感の強い刑事」という役柄だったため、トリックスター的な弓神に翻弄される受け身のキャラクターだった。そのため、若干損をしているように見えたが、物語が佳境に入るにつれて狡猾な部分も見せるようになってきた。もしかしたら、最終話では2人の立場は逆転して、羽生のほうがヤバい奴になっているのかもしれない。

事件の裏にある「女性の哀しみ」

 チーフ演出は『ガリレオ』や『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(共にフジテレビ系)で知られる西谷弘。

 灰色がかった映像と抑制された音楽は今のテレビドラマでは異色で、浅野忠信が出演していることも含めて、90年代のインディペンデント系の単館映画を見ているようだ。その意味でも、物語よりも映像が醸し出す雰囲気を楽しむ作品であり、毎回「映像が気持ちいい」と思って見ているうちに話が終わってしまう。

 脚本は倉光泰子をはじめ複数の脚本家が参加しているのだが、全話に共通するのは「女性の哀しみが背景にある事件」だということだろう。痴漢冤罪やストーカー犯罪などの事件を通して現代社会の闇が描かれ、そのゆがみにのみ込まれた女性たちが最終的に罪を犯してしまう、という物語が繰り返されている。 なぜここまで女性の事件を繰り返し描くのかは、今のところよくわからないのだが、圧倒されるのは、犯人がわかった後に犯人視点から描写される映像とそこにかぶせられる独白で、それ自体が独立した短編映像のような見ごたえがある。

思い起こされる、堤幸彦の異色作『ケイゾク』

 誰が犯人か、キャスティングを見ればある程度わかるのは仕方ないが、そもそも本作は犯人探しのミステリードラマとしては撮られていないのだろう。だからこそ、最終的に印象に残るのは、個々のエピソードや被害者となった女性たちではなく、映像自体が覆うダークな空気だ。

 本作を見ていて思い出すのは、99年にTBS系で放送されていたカルト刑事ドラマ『ケイゾク』だ。カルト映像作家・堤幸彦の出世作となったあの作品も、表向きはミステリーティストの刑事ドラマだったが、謎解きよりも主演の中谷美紀と渡部篤郎が演じる刑事の掛け合いや堤幸彦がつくり出すダークな映像のほうが魅力的だった。

「当時、あのドラマが何を描いていたのか?」と問われると、「90年代末に日本人が漠然と抱いていた不安感が反映された時代の空気」としか言いようがないのだが、『刑事ゆがみ』が描いているものも、やはり2017年現在の日本を覆っている暗い空気ではないかと思う。

 その意味で気になるのは、物語の結末だ。『ケイゾク』は後半から正体不明の連続殺人犯と警察の対決に主軸が移っていくと同時に、物語自体はどんどんわけのわからない混乱したものへと変貌していったのだが、『刑事ゆがみ』は終盤に至っても、今のところ刑事ドラマという型は保っている。

 これは、なんでもありのミュージックビデオ(MV)的な映像をテレビに持ち込んでテレビドラマに革命をもたらした堤幸彦と、あくまでオーソドックスなスタイルでテレビドラマを映画のように撮ろうとする西谷弘の資質の違いともいえる。

 おそらく、弓神が過去にかかわった事件の影響下にある事件が再び起こり、それを解決するために暴走する弓神を羽生が止める……という方向で物語が進むのではないかと思う。だが、せっかくここまでダークで不穏な世界観を構築してきたのだから、予定調和に収まらない、ゆがんだクライマックスを迎えてほしいものである。(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

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引用元:ビジネスジャーナル

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