『シン・ゴジラ』の影響で新『ゴジラ』ブームが到来中? 古くて新しいゴジラの魅力|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.14〕「ジャスティス・リーグ」に見る米映画の潮流ヒーロ 現在の記事数:252855件

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『シン・ゴジラ』の影響で新『ゴジラ』ブームが到来中? 古くて新しいゴジラの魅力


 未だに印象に残る昨年の『シン・ゴジラ』の大ヒット。その勢いに乗ってか、今年11月17日にはアニメ『魔法少女まどか●マギカ』(※●は星)シリーズで知られる虚淵玄が脚本を務めた、ゴジラ初の長編アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』も公開された。

 内容については賛否両論だが、公開初週末の興行収入成績は全国168スクリーンで土日2日間で動員7万1,200人、興収1億0,300万円(興行通信社)を記録、まずまずのスタートを切った。

『GODZILLA 怪獣惑星』公開にあわせて、11月12日には『シン・ゴジラ』が地上波初放送、展示会「ゴジラ IN 有楽町マルイ GOZILLA SHOW SPACE」(有楽町マルイ/2018年1月8日まで開催)も開催中と、『シン・ゴジラ』の大ヒットを機に、改めて存在感を示した日本映画界最大のスター・ゴジラの魅力をロックバンド「モノブライト」のベースでありながら、「東映特撮ファンクラブ」でコラムも手掛けるほどの特撮マニアとして活躍中の出口博之氏に語ってもらった。

1712_god01.jpg『GODZILLA 怪獣惑星』公式サイトより『シン・ゴジラ』のヒットでブランド力再浮上

――ここにきてゴジラがいろいろ展開していますね。

出口博之(以下、「出口」) 『シン・ゴジラ』のヒットのおかげで、かつてないないほど注目度が高まりました。2017年に、怪獣映画をゴールデンで放送されるという時点で感慨深いものがあります。『シン・ゴジラ』は劇場に4回ほど足を運んだんですけど、テレビで放送しているとなると、仕事の手を止めて見入っちゃいましたね、「すげえなぁ」って(笑)。もやっぱり良くできている、ゴジラ・怪獣パニック映画のマナーに則って作られていて、その上良質なエンタメ作品になっているなと。

 ただ、その『シン・ゴジラ』も公開前はさほど話題になりませんでした。公開後、すごいクオリティだということで、口コミで広がって結果大ヒットになったわけですから、『GODZILLA 怪獣惑星』も、挽回はできるんじゃないかなと思います。

――『ゴジラ』のアニメ化は今回が初めてですよね?

出口 『ウルトラマン』はキッズ向けのテレビアニメが制作されたことはありましたが、ゴジラはななかったと思います、短編だとかコラボされてSD化されたゴジラなんかいましたけどね、つい先日の『クレヨンしんちゃん』とコラボしたように(笑)。

 映画公開前のPVを見た時点で、従来のゴジラファンが求めるゴジラや特撮の作法どおりの映像からはかけ離れていたんですよね。舞台が2万年後の地球と設定がSF寄りですし。あとご存知のように、今回のゴジラはかなりマッチョで、太いんですよ。ゴジラファンにどう受け入れられるのか、楽しみなところでしたけども……

――実際、鑑賞されてみていかがでしたか? 

出口 『GODZILLA 怪獣惑星』の、これまでのゴジラシリーズで徹底的に回避してきた「人類の完全敗北」から始まる物語に驚愕しました。アニメ作品だからこそ表現できる世界観は、ゴジラの今後の可能性の拡大を示したと思います。

 従来の特撮ファンにとって思わずニヤッとするかなりマニアックな小ネタも多く散りばめられているので、それを見つけるのも楽しい。ひとつだけ言うと、まさかハスの種でこんなに盛り上がるとは思いもよりませんでした。今作は物語のプロローグ的位置付け。ここから人類とゴジラがどのように対峙していくのか、続編に大いに期待できると思います。

ゴジラはいつも怒っている1712_god02.jpg『ゴジラ』60周年記念版Blu-rayジャケット

――ちなみに出口さんをはじめとするファンが考える「ゴジラの作法」とはどんなものですか?

出口 基本、ゴジラは怒っているんですよ。他の怪獣と一番違うところはそこです。いわゆるファースト、1954年に公開された最初の『ゴジラ』は、海底洞窟で生息していた怪物が水爆実験の影響で怪獣となってしまった。もちろん第五福竜丸のビキニ湾での被爆事件や、第2次大戦で被爆しているという事実が下敷きになっているわけです。

――54年ですから、終戦からわずか9年。記憶も生々しく残っていたことでしょうね。

出口 我々なんかからすると70年以上も前になりますから、対岸の火事のように感じてしまうともありますけど、当時はハンパなかったでしょうね。加えて、その海底にいるとされる生物は、その島(架空の小島・大戸島)では「伝説の怪物」として畏怖・信仰されていたり存在であったという設定もあって、何かと神秘性を感じられるようになっているんです。

―ー巨大怪獣をやっつけた! めでたしめでたし、ともなりませんしね。

出口 ならないですね、たしかに。ただ、2作目の『ゴジラの逆襲』(55年)は、アンギラスという怪獣が登場して、2作目にして早くも怪獣同士が対決しているんです。舞台となった大阪中が破壊されるんですが、雰囲気が明るいんですよ、ラストでは元気に復興に取り掛かるし。これはこれで復興に前向きに取り組んできた戦後の日本を描いた、ということなんだろうなと。世相の映し鏡みたいな一面があるんですよね、シリーズ初期から。

 その後シリーズが進むにつれて、派手な怪獣映画としての側面が目立つようになってきてゴジラがシェー!! をしたりするようになったりもしましたが(笑)、その揺り戻しで原典回帰=怖いゴジラになったのが、84年に公開された『ゴジラ』、通称『84年ゴジラ』です。そこからしばらくゴジラが怖い、畏怖の対象になっていくんです。84年ですから冷戦真っ只中。アメリカとソ連が核を撃つか撃たないかという、「すわっ、第3次大戦か!」という緊張感がある展開でして。

 ただ、単純に反戦映画ではないんです。いろんなメッセージが込められているし、あらゆる解釈が成り立つというか……たとえば深いファンの間では、ファーストゴジラ=戦没者の魂という説もあるんですよ。というのも東京中の有名な建物をゴジラは壊していますけど、皇居は登場していない。そこから英霊たちの魂がゴジラに乗り移ったというような。

 そういった憶測が立つぐらいに、ゴジラは神様のような畏怖する存在であるという前提があります。ファーストゴジラからして、大戸島で大昔から語り継がれている存在で、時化が続いて漁に出られないときは島の若い娘をいけにえとして捧げる、という設定。ただ怖い怪獣がいるのではなく、畏怖すべき神様として描かれているんです。『GODZILLA 怪獣惑星』もそういうところは受け継がれています。

2020年、ゴジラとキングコングが激突する!

――さて、『ゴジラ』は今後、どう展開していくのでしょうか?

出口 すでに発表されたものだ『MonsterVerse(モンスターバース)』シリーズ、通称『ギャレゴジ』のシリーズ第3作『Godzilla: King of the Monsters』が19年に、第4作『Godzilla vs. Kong』、シリーズ第4作が20年に公開予定です。キングギドラやキングコングも登場する――と思われる大作がありますね。これからどんな情報が出るか楽しみですよね。

――『シン・ゴジラ』の勢いに『怪獣惑星』は乗っかってほしいし、『ギャレゴジ』をはじめとする後発のゴジラを後押しするような勢いを生み出してくれるといいですよね。

出口 本当に『シン・ゴジラ』は大きかったですよね。『シン・ゴジラ』が公開されたばかりのころ、「これがコケたらもう俺達が好きな怪獣映画が作られなくなるんじゃないか?」と思いましたから。それぐらいのクオリティが高かったですから。

 結果大ヒットになって、ゴジラの注目度が改めて上がって、近年にはなかったほどいろいろなグッズも出たし、もしかしたら水面下で「うちも怪獣映画を久々に作ってみるか」という動きにもつながったかもしれない。それぐらい影響は大きかったと思います。

――何十年か後には、「ゴジラシリーズ中興の祖・庵野秀明」と評価されているかもしれませんね。

出口 あはは(笑)。でもその通りかもしれません、『シン・ゴジラ』以前の国内の最後の作品は『ゴジラ FINAL WARS』(04年)で、「FINAL」と銘打たれていたほどですから。『シン・ゴジラ』がヒットしなかった結構ピンチだったかもしれませんね、海外では制作・公開されても、日本産の『ゴジラ』が作れない、という状況だってあり得たと思いますよ。

進む特撮とアニメのハイブリッド化1712_god03.jpg『エヴァンゲリオン』公式サイトより。こっちは今後どうなるのか

――ゴジラは14年に60周年を迎えました。多種多様なゴジラが登場したわけですが、印象に残った作品はありますか?

出口 ストーリー込みなら『84年ゴジラ』ですね、幼少期に見ましたが、当時は全然ストーリーを飲み込めていなっくて、ただただ怖い! と思った記憶があります。『ウルトラマン』なんかは見ていたわけで、怪獣には親しみがあったんですけど、やっぱりウルトラマンなどにはない暗さや重さ、まがまがしさがあって。なにやら尋常ではないことが起きているというのが子ども心には察せられて、怖かったんですよ。

 フォルムやデザインを重視するなら、『ゴジラVSビオランテ』(89年)が好きですね。『ビオランテ』を皮切りにVSシリーズが続いていくんですけど、一連のゴジラが抜群に格好良くなっていたんですよ。それまでのゴジラと比べて、顔がしゅっと小さくなって、全体のフォルムも格好良くて。ビオランテを手掛けられたのがもう亡くなられていますが、川北紘一(特撮)監督です。

『ゴジラVSデストロイア』(95年)も好きですね。川北監督の最後の作品になるんですけど、キャッチコピーが「ゴジラ死す!」とありまして。本当に、最後にはゴジラがメルトダウンして肉体が崩れていって、放射能を振りまいてしまうんですけど、新しい世代のゴジラが放射能を九州して、ゴジラ2世になってしまうという、悲しいお話なんです。鑑賞後に考え込んでしまうようなお話でしたね。

――結構笑える作品もありますよね

出口 『ゴジラ対メガロ』(73年)は突っ込みどころが多いですよ。ジェットジャガーというロボットが登場してきたりするし、しかもそれが劇中で何の説明もなく巨大化したりするんです(笑)。ゴジラシリーズの中でもかなりのB級感溢れる、考えたら負けみたいな作品も好きですね。

歴史を上手く取り込んだ作品もありますよ、尺由美子さんも出演していた『ゴジラVSメカゴジラ』(02年)には3式機龍(メカゴジラ)という怪獣が登場しますが、その怪獣の骨格のもとになっているのが、54年の初代ゴジラという設定なんです。それをもとに人間が怪獣を作ってゴジラと対決させようとするんですが、ゴジラと対峙すると共鳴しあって、暴走するという展開で。見たとき、「『新世紀エヴァンゲリオン』だ!」と思ったんですよ。単純にパクリだ! というつもりはなくて、両作品で共通するスタッフさんもいますし、知らず知らずのうちに影響を受けるものですし。

――そもそも庵野監督が手掛けたアニメにも特撮の影響を感じます。

出口 そうですよね、『エヴァ』もアニメで特撮をやった、という一面がありますよね。特撮ファンとして、『エヴァ』を細かく見ていくと……たとえば作中で車がすごく軽く転がっていったり、ビルがすごくきれいに壊れるところ、テロップの入れ方ととかに、70年代の特撮、『帰ってきたウルトラマン』の影響を感じます。そうやって特撮に影響を受けた庵野監督のアニメに、特撮の人が影響を受けて、今度はさらに庵野監督自らが特撮を撮って、ゴジラのアニメも公開された。いい感じに影響しあっていくといいなぁと思います。(文・構成=編集部)

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引用元:ビジネスジャーナル

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