プロ野球「ユニフォーム付きチケット」の真価自チーム以外のファンも球場に呼ぶ仕掛け|マネブ

マネブNEWS:〔2018.02.26〕「シークレットマン」が教える権力との闘い方丹念な 現在の記事数:256972件

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プロ野球「ユニフォーム付きチケット」の真価自チーム以外のファンも球場に呼ぶ仕掛け


プロ野球ファンの間で人気が定着したユニフォームの無料配布。敵地に観戦に訪れるファンにもビジターチームのユニフォームを配布する球団間のコラボ企画も盛んになっている(撮影:尾形文繁)

ご覧になっていただいている6着のユニフォーム。これらはすべて、パ・リーグ6球団が本拠地球場で来場者に無料配布したもの。実は筆者はすべて首都圏の球場で手に入れている。埼玉西武ライオンズの炎獅子ユニフォームだけは所沢のメットライフドームで、それ以外はすべて、千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムで手に入れた。

本拠地球場でしか手に入らないはずのものが、なぜZOZOマリンで入手できたのか。それは、千葉ロッテがZOZOマリンにやってくるビジターファン向けに、ビジターチームのレプリカユニフォーム付きチケットを一般販売したからだ。

プロ野球界に普及したユニフォーム無料配布

チケット購入者への無料ユニフォーム配布は、2004年に福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)が始め、13年の時を経てすっかり各球団に定着した。今では広島東洋カープ以外の11球団が実施しており、中には1シーズンに何種類も配布する球団もある。

ユニフォームの無料配布は集客効果が高い。閑散期や不人気カードに投入する球団もあれば、あえて繁忙期に実施するイベント付きゲームの目玉に位置づけている球団もある。

プロ野球ファンではあっても、ファンクラブに入会するほどではない、いわゆるソフト層のファンの観戦モチベーションを引き上げる効果が絶大なのだ。

もっとも、無料配布は基本的に本拠地開催のゲームのときだけなので、本拠地まで観戦に出向けない遠隔地のファンは基本的に入手できない。

「同じデザインのものが球団のオンラインショップで販売されているのなら、ほしければそれを買えばいいではないか、そもそもタダとはいっても実はチケット価格の中に、ユニフォーム代も含まれているだろう――」。こんな意見も聞こえてきそうだが、それは無粋というもの。シンプルにオマケはうれしいし、その日に本拠地球場へ行って観戦したからこそもらえることにも意味がある。

チケット入手が困難な対戦カードだったり、ケガで長期間離脱していた選手が復帰したり、何らかの記録が達成されたりすれば、その記憶とともに観戦記念になる。

それに、無料配布限定のデザインの場合もあるし、球団のグッズサイトで売っているものとデザインは同じでも、発注コストを当日のゲームスポンサーの提供で賄っていれば、そのスポンサーの広告タグが付いていて、それが配布された日の思い出と結び付くよい記念品になる。

そして、そもそも買うよりも間違いなく値段は安い。最も安いレプリカユニフォームの価格は球団によってまちまちだが、最低でも4000円以上はする。

しかし、無料配布日のチケット価格が通常の日と同額の場合は、ユニフォームは文字どおりタダ。繁忙期と閑散期でチケット価格に差をつけている球団でも、いちばんチケット価格が安い外野席をユニフォーム配布日であることを理由に5000円、6000円で売るということはない。ファンクラブ会員ではなくても、1900円で買える外野自由席のチケットで、ユニフォームがもらえたりするのだ。

ロッテ球団が始めた「双方向」の提供企画

そんな本拠地でしかもらえないユニフォームを、敵地で応援するファンも入手できるようにしたのが、冒頭に紹介した千葉ロッテの企画チケットだ。今シーズンは西武を除く4球団のビジターユニフォーム付きチケットを、通常価格プラス1500円で販売した。2015年シーズンから始めた他球団との共同企画で、ユニフォームはタダではないし、本拠地でもらう場合よりはプレミアム感は劣るのかもしれないが、「ファンには好評」(千葉ロッテ広報)だという。

初年度は北海道日本ハムファイターズとの間で実施。札幌ドーム開催の日ハム・ロッテ戦3試合で、ビジター応援エリアのチケットの一部をロッテのユニフォーム付きにする一方、QVCマリン(当時)開催のロッテ・日ハム戦2試合で、ビジター応援エリアのチケットの一部を日ハムのユニフォーム付きにした。

2年目の昨年は、対象チームをオリックス・バファローズ、福岡ソフトバンクホークスにも拡大。3年目となった今シーズンは、東北楽天ゴールデンイーグルスとの間でも実施した。

西武に関しては、今シーズン、メットライフドーム開催の西武・ロッテ戦6試合で、ロッテのユニフォーム付きチケットが販売されたものの、ZOZOマリンでは西武のユニフォーム付きチケットは販売されず、双方向での実施にはならなかった。そうなった理由はスケジュールの問題だったので、来期は双方向で実施される可能性が高い。

その西武も同様の企画をソフトバンクとの間で実施、楽天もソフトバンク、オリックス、日本ハムとの間で実施している。

このほか、札幌ドーム開催の日本ハム―ソフトバンク戦、ヤフオク!ドーム開催のソフトバンク―日本ハム戦で、双方のガールズデーユニフォームが、数量限定・先着順で女性のビジターファンを対象に無料配布されている。

実施に当たって検討・調整が必要になるのは、実施時期と販路だ。ビジターユニフォーム付きチケットの対象になるゲームは、本拠地での無料配布後になるように調整しており、シーズン後半に集中しがちなのは、このためだ。

チケットの販路は球団によってさまざまではあるものの、基本的にビジターファン向けの企画なので、ホーム球団のチケットサイトではなく一般のプレイガイド経由にしたり、ビジター球団のチケットサイトで販売するなどの配慮がなされている。

プロ野球のチケットの販売権は基本的にホーム球団が持っている(巨人のみ例外で、巨人のチケット販売権は親会社の読売新聞社が持っている)。ビジターユニフォーム付きのチケットは、ホーム球団が相手球団からユニフォームを購入し、ビジター球団のチケットサイトや、プレイガイドに販売を委託する形がとられている。

ビジターファンが購入しやすいように工夫も

自分が応援するチームのサイトは頻繁にのぞいていても、他球団のサイトまで小まめにチェックしているファンは多数派ではない。チケットサイトの設計は球団によって異なるので、「(各球団のファンにとって)慣れたサイトを使ったほうが購入しやすいのではないかと考えた」(千葉ロッテ広報)。

また、一般のプレイガイド経由にしたり、ビジター球団のチケットサイトで販売することは、転売目的で購入する「チケットゲッター」による買い占め防止にも、多少は効果がありそうだ。ファンクラブはそのチームを応援するファンのためのものだが、転売目的のチケットゲッターもファンのフリをして入会する。入会に際し、IDを提示させて本人確認をする球団はないので、偽名を使い、複数名義で入会し、付加価値の高いチケットを優先枠をフル活用して買いあさる。

ユニフォーム付きチケットは、通常のチケットと比べると転売目的のチケットゲッターの標的になる確率が高い。ゲッターを完全排除することは不可能でも、少なくともビジターファン向けのチケットを、ホームのファンの優先枠で買い占められてしまうことは回避できる。

結束の強いパ・リーグ球団に比べ、各球団同士の結束が弱いセ・リーグ球団同士でも、今期ようやく同様の企画が実現した。実施したのはヤクルトスワローズと中日ドラゴンズ。8月11日から13日までのナゴヤドーム開催の中日ーヤクルト3連戦で、燕パワーユニフォーム付きチケットが、そして9月20日神宮球場開催のヤクルト中日戦で、昇竜ユニフォーム付きチケットが発売された。

中日(左)とヤクルトの「ユニフォーム付きチケット」の配布ユニフォーム(撮影:尾形文繁)

どういういきさつでこの組み合わせが実現したのかを聞こうと、ヤクルト球団に取材を申し込んだが、「中日ドラゴンズ営業部と話し合ったが、今回は試験的に実施する部分が多いので」という理由で取材に応じてもらえなかった。

このため、想像の域を出ない論にはなるが、もともと中日とヤクルトは、球団マスコットのドアラとつば九郎が、シーズンオフに名古屋と東京で共同ディナーショーを開くほどの間柄。カープ戦ではネット裏から3塁側が真っ赤に染まる神宮球場も、中日戦の3塁側はガラガラ。ナゴヤドームでのヤクルト戦も同様の状況なので、互いに利害が一致したということなのかもしれない。

惜しむらくはチケットの販路。ナゴヤドーム開催のゲームはヤクルトファン向けでありながら中日のチケットサイトで、神宮開催のゲームは中日ファン向けでありながらヤクルトのサイトで販売した。

このため、ファンクラブ優先受け付け中に完売してしまい、一般発売には回らず、一般発売開始前にチケット売買のネットサービス「チケットキャンプ」に出品される事態になった。

少々驚いたのは、9月27日東京ドーム開催の巨人―中日戦で、中日ファン向けに昇竜ユニフォーム付きチケットが売り出されたこと。扱ったのはeプラスのみで、eプラスもまた「主催者からの委託で販売している」ことを理由に取材拒否。こちらもどういういきさつで実現したのか、話を聞くことはできなかった。ただ、主催は読売新聞社と日本テレビなので、常識的に考えればeプラスはこの両社からの委託でこのチケットを販売したことが推測できる。

セ・パ球団間で「ビジターユニ付きチケット」を期待

東京ドームの巨人戦は、筆者からすると徹底した「ジャイアンツファースト」という印象がある。それを考えると、よくぞ実現したものだと思う。この勢いで、来シーズンはセ球団間だけでなく、そして交流戦の期間中はセ・パの球団間でもビジターユニフォーム付きチケットが拡大することを期待したいところだ。

ただ、唯一、無料ユニフォーム配布自体を実施していない広島の場合、そもそも双方向になりえない。そのうえ、マツダスタジアムのビジター応援席のチケットは、カープファンが購入してコンコースで立ち見をすることが常態化しており、ニーズ自体に疑問が残る。ハードルは高そうだが、あの東京ドームの巨人戦で実現したのだから、風穴は開いたと考えていい。できるところから実施してもらいたいと思う。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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