なぜ早稲田より慶應が就職で有利なのか?地方から早慶に入学する意味はあるのか?|マネブ

マネブNEWS:〔2018.11.03〕『ブラックスキャンダル』がメチャ面白い!「鳥肌立 現在の記事数:288595件

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なぜ早稲田より慶應が就職で有利なのか?地方から早慶に入学する意味はあるのか?


慶應義塾大学の慶應義塾図書館・旧館(「Wikipedia」より/Wiiii)「私学の雄」と評される早稲田大学と慶應義塾大学には、学内ヒエラルキーをはじめ学生の気質から受験の現場に至るまで、大きな変化が起きている――8月8日付記事『早稲田と慶應にトップ高校出身者が行かなくなった理由…「早慶より地方の国公立」が鮮明に』では、両大学をあらゆる角度から徹底比較した『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)の著者でライター・編集者のオバタカズユキ氏の話をお伝えした。

 オバタ氏によると、地方のトップ高校の“早慶離れ”が進んでおり、東京大学や一橋大学など超難関国立大との差も広がりつつあるという。今回は、早慶の学生気質の変化や就職事情、大学業界の課題などについて、さらにオバタ氏の話をお伝えする。

コミュ力の慶大生、多様性の早大生

――学生生活に変化はあるのでしょうか。

オバタカズユキ氏(以下、オバタ) 昔に比べて勉強していることは間違いないです。昔は授業で出席をとらないのが当たり前でしたが、今は文部科学省の方針もあり、出欠管理が厳重になっています。学生の間でも、授業に出ないと「なんで?」という空気が醸成されています。

 私は今53歳ですが、我々が学生だった頃は休講になると喜んだものです。しかし、今はどの大学でもクレームを入れる学生が必ずいます。「高い授業料を払っているのだから、授業を受けるのが当たり前」とコスパで考える学生が増えているようです。

 ただ、早慶でも居眠りや私語は問題になっています。我々の頃は、そうした学生はそもそも授業に出なかった。「聞く気がないなら、出席しないほうが合理的」というわけですが、大学側もあの手この手で出欠を管理するので、学生も出ざるを得ないようです。そのため、授業に出て勉強はしているけれど、昔に比べて優秀になっているかといえば、そうともいえないと思います。『早稲田と慶應の研究』(小学館/オバタカズユキ)――いわゆる「早稲田らしさ」「慶應らしさ」といった学生気質のようなものは今でも健在なのでしょうか。

オバタ 基本的な傾向は昔とあまり変わっていません。慶應はコミュニケーションが上手で、まわりに自分を合わせる学生が多くいます。学部にもよりますが、2年から3年への進級時にキャンパスが日吉(横浜市港北区)から三田(東京都港区)に変わり、そこでグッと大人になります。三田の学生を取材すると、ほとんど社会人の受け答えと変わりません。ゼミや「三田会」などでOB・OGとの縦のつながりが日本一強いといわれ、大人とのやりとりに慣れているからです。ちゃんとした敬語や相手との距離感、自分の意見を“ほどよく”言うといった対応は見事です。意地の悪い見方をすれば、企業の広報としゃべっているような予定調和感があります。この傾向が、今は昔より強くなっているかもしれません。

 早稲田は学生の優劣の差が激しいですね。背景には、慶應ほど同調圧力が強くないという校風もあると思います。そして、今や「バンカラ」「在野精神」といった早稲田を象徴する言葉の意味をわかっている学生は少数派のようです。ただ、取材中には夏休み明けのキャンパスで「久しぶりでなんかうれしかったから」と校歌を歌う関西なまりの2人組に出会いました。今も、早稲田の校風にひかれて進学する学生は一定数いるようです。

 学生に「早稲田らしさがなくなったのでは?」と聞くと、「今50代の人が学生のときも言われてたんじゃね?」「30年後、俺らも同じことを言っていると思う」という返答が多くありました。早大生らしい相対化の仕方だと思います。

 通信大手の人事担当者は、内定者懇親会での立ち居振る舞いを見て「誰が慶應で誰が早稲田か、自信を持って当てられる」と言っていました。その程度には、今も早慶特有の学生気質はあるのだと思います。謎の“慶應ガール”の生態

――近年は女子学生が増えています。

オバタ 親世代には「慶應のほうが女子比率が高い」というイメージがあるかもしれませんが、2005年度に逆転しており、2017年度は早稲田で37.1%、慶應で36.5%となっています。早稲田の広報に「慶應に負けないところは?」と聞くと「国際化と女子比率」という答えが返ってきました。

 本書では、「ワセジョ」の変化についても論じていますが、「慶應ガール」については掘り下げることができませんでした。それぐらい、とらえどころがなかったというのが正直な感想です。実際、取材を重ねても本音が語られている感じがしませんでした。見た目も中身も「レベルが高いなぁ」と思わされる学生が多かったのですが、どこか人目を気にして自分の人生を演じているような感じがしましたね。

 その点、早稲田の女子はなんでも話してくれる。受け答えもしっかりしていて、「男子と偏差値で5から10ぐらい違うのでは」と感じるほどでした。一昔前と違って、おしゃれな学生も多いです。もっとも、男子も女子も野暮ったい学生が存在できる点も早稲田らしさであり、今も健在です。オバタカズユキ氏――就職状況はいかがでしょうか。

オバタ 慶應が有利ですね。いわゆる「早慶枠」がある企業でも、実態としては慶大生の評価のほうが高いようです。先ほど述べたように、早稲田は学生の質にばらつきが大きく、人事にとって「慶應は“安パイ”」という感じです。学生の質だけでなく、産業構造の変化もあり、いわゆるコミュニケーション能力を重視するようになったため、いろいろな意味で慶應的な要素が有利になっているとも言えますね。

 ただ、慶應には「慶應病」という言葉があります。就活で大企業や業界トップ企業しか受けないことですが、まわりの目を気にしているのでしょう。あるベンチャー企業経営者は、「両大学の違いは感じない」としつつも、「会社立ち上げの頃は(社員に)早稲田出身しかいなかった。慶應が増えてきたのは、ちゃんとした会社になったということ」と話していました。

 採用担当者に取材を進めるなかで、「学力やコミュニケーション能力、社会性で上回る慶應」「個性や意欲、人柄で評価される早稲田」という違いが見えてきました。

――前回、「地方の優秀層の早慶離れ」というお話がありましたが、今でも早慶はおすすめできるのでしょうか。

オバタ その子のやる気と経済状況によるとしか言えないです。地方が経済的に苦しくなっている一方で、学費も値上がりしています。奨学金という名で何百万円もの借金を背負って社会に出るのは不健全です。そこまでして早慶に行くべきかは、果たしてわかりません。

 ただ、地元で働くにせよ、東京がどんなところかは知っておいたほうがいいでしょう。理系以外だったら、旧帝大よりも早慶のほうが教育レベルが高く、学生の多様性もあります。一生に一度の問題でもありますし、意欲があるのであれば、多少の旅費をかけても高校生のうちにキャンパスを見に行ったほうがいいとは思います。学費高騰で慶應SFCは理系並みの水準に

――今後、早慶にはどのようになっていってほしいとお考えでしょうか。

オバタ 私が気になるのは、学費がずいぶん高くなったことです。早慶とも30年前は文系学部の授業料は40万円程度で、初年度納付金は70~80万円でした。現在の授業料は100万円近くになり、初年度納付金も120~130万円になっています。国際化や少人数教育を売りにしている国際教養学部(早稲田)や総合政策学部・環境情報学部(慶應SFC)は150~160万円で理系並みです。はっきり言って、子どもが2人いたら普通の家庭ではきつい。これは、ほかの私大や国公立大も同様に上がっています。少子化の原因のひとつではないかと思うぐらいです。

 少人数教育や欧米型教育で一定の成果が出ることも確かだと思いますが、何がやりたいのかわからないまま入学する学生も多くいます。わからないまま授業で拘束され、自宅生が増えて通学時間が長くなり、少子化で塾や家庭教師といった割の良いアルバイトが減って、居酒屋やコンビニのバイトで忙殺される。その結果、学生が忙しくなりすぎてしまい、見ていても心にゆとりがないのが実情です。

 少人数のアクティブラーニングは楽しそうですが、それが何かに結びついているかというと微妙です。「学生の成長」という観点で考えると、大学というのはモラトリアムの期間であることが最大の価値だと思います。暇だから友達とつるんで、そのなかで危機感が湧いたり、間違いをおかしたりしながら成長していくものではないでしょうか。

 これは欧米流の教育をまねしたい文科省と授業料を上げたい大学の思惑が一致した結果ですが、今後は、ますます少人数・グローバル教育の導入と学費の高騰が進むでしょう。それらのすべてに反対するわけではないですが、せめてもうひとつの選択肢をつくることで複線化してほしいと思います。ゼミ以外はマスプロ教育をメインにし、たとえば年間授業料50万円以下で済むような履修の仕組みをつくるべきです。そうした教育でも、かつては傑出した才能が出ていましたし、それが肌に合う学生は今でもいるはずです。

 かつて、早稲田は「教授三流、施設二流、学生一流」と言われましたが、いわば「教授三流」を復活させてほしい。優秀な学生が集まる早慶こそ率先して取り組んでほしいと思っています。「時代に逆行する」暴論だと言われるかもしれませんが、学費の高騰は看過できるレベルではありません。監修を務める『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)シリーズは今年で20年目になりますが、続いているのは親世代が買ってくれているから。時代が変わっても、大学選びが切実な問題であることは変わっていないことの表れだと感じています。(構成=編集部)

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引用元:ビジネスジャーナル

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