トランス脂肪酸、WHOが排除の方針発表…農水省は規制せず放置、幅広い食品で使用|マネブ

マネブNEWS:〔2018.08.21〕甲子園、「公立高校」金足農の「漫画みたいな逆転劇 現在の記事数:285231件

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トランス脂肪酸、WHOが排除の方針発表…農水省は規制せず放置、幅広い食品で使用


「Getty Images」より

 今回も、本連載前回記事の続編のような内容です。油のなかでも“最悪”で、私たちがぜったいに摂ってはいけない「トランス脂肪酸」に関してです。

 本連載を続けて読んでくださっている方は、「その話は以前読んだ」と思われるかもしれませんが、今回はまた別の角度からの話です。

 トランス脂肪酸が私たちの健康に大きなダメージを与えるということは、もうすでに多くの方の知るところとなりました。ただ、その深刻さが伝わっていないと感じます。そのため、日本においてはいまだになんの規制もなく野放し状態で、製造側としてはやりたい放題になっています。

 ただし筆者は、トランス脂肪酸を含んだ食品を、個人の責任において食べるのは自由だと考えています。どれだけ科学的な根拠があったとしても、「トランス脂肪酸は危険ではない」と主張する人たちは存在するからです。

 農林水産省は、トランス脂肪酸に関して、このようなコメントを出しています。

「食品中のトランス脂肪酸含有量について上限値を設けたり、部分水素添加油脂の食品への使用を規制したりするなど、行政機関が規制措置を実施している国や地域は一部に限られています。食品からトランス脂肪酸を完全に排除している国や地域はなく、いずれの場合も、一定量以下であればトランス脂肪酸の食品中の含有を認めているのが現状です」

「トランス脂肪酸を多く含む食品を規制することは可能ですが、トランス脂肪酸の摂取量を実際に減らすには、食生活そのものの改善が重要と言えます」

「一部の国や地域では、食品中の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量表示を義務づけていますが、ほとんどの国はトランス脂肪酸の低減を食品事業者の自主的な取組に委ねており、消費者に対してはバランスのよい食生活によって脂質をとりすぎないように注意喚起を行うことを重視しています。食品からの脂質の摂取量そのものを減らせば、同時に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量も減らすことができるためです」

 このコメントを読んで、どのような感想を持つかも自由です。筆者は、責任の所在を明確にせず、自分たちに累が及ばないように、あたりさわりのない書き方をしている、と受け止めます。

「一定量以下であればトランス脂肪酸の食品中の含有を認めているのが現状」「トランス脂肪酸の摂取量を実際に減らすには、食生活そのものの改善が重要」「食品からの脂質の摂取量そのものを減らせば、同時に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量も減らすことができる」 このような文章には、あきれてものが言えません。本質をわかっていないのか、わかっていてあえてわかっていないふりをしているのか、定かではありませんが、いかにも無責任な体質が明確に表に出ています。

「行政機関が規制措置を実施している国や地域は一部に限られているし、どっちにしてもトランス脂肪酸を完全に排除しているわけではないし、一定量以下ならトランス脂肪酸が食べ物に入っていても大丈夫と、諸外国は言っている」というのが要旨ですが、本当にそうでしょうか。日本人は、欧米諸国の人たちに比べて、トランス脂肪酸の摂取量は少ない、と言いますが、その計測の方法は統一されているのでしょうか、という疑問を筆者は投げかけています。

「隠れトランス脂肪酸」が多量にある

「日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、朝、パンにマーガリンを塗る程度でしかない」などと言う人もいますが、菓子類やインスタント食品を含めたあらゆる加工食品、ファストフード、市販されている揚げもの、外食など、実際は「私たちの周りはトランス脂肪酸だらけ」と言っても過言ではないほどです。

 それが日本人の健康を害していることは明々白々です。それにもかかわらず、「大した問題ではない」と思わせることを目的としたインターネット上の記事や意見も目につきます。

 筆者が問題視しているのは、マーガリンやショートニング、市販されているサラダ油などの、トランス脂肪酸を大量に含む油を直接摂取するのとは別に、トランス脂肪酸を原材料としてつくられる加工食品を食べることの危険性です。

 子供たちは、自分たちが食べているスナック菓子に大量のトランス脂肪酸が含まれていることを知りません。若者たちは、ランチで食べたカップラーメンや菓子パンなどに大量のトランス脂肪酸が入っていることを知りません。お父さんは、居酒屋で食べたサラダに使われているマヨネーズやドレッシングが大量のトランス脂肪酸の塊のようなものだということを知りません。

 そのような見えないトランス脂肪酸、いわば「隠れトランス脂肪酸」は、現代の食事の中で、見つけようと思えば簡単に見つかります。むしろ、そのような加工食品に含まれている隠れトランス脂肪酸のほうが問題は大きいともいえます。隠れトランス脂肪酸の摂取量を加えたら、「日本人のトランス脂肪酸の摂取量は決して少なくない」という結論になるかもしれません。WHOの「REPLACE」提言

 その折も折、WHO(世界保健機関)が「REPLACE」という提言を発表しました。

・REview:工業的に製造されるトランス脂肪酸の原材料および必要な政策転換について展望する・Promote:トランス脂肪酸をより健康的な脂肪や油に切り替える・Legislate:トランス脂肪酸を排除するための規制措置を講じる・Assess:食料品に含まれるトランス脂肪酸の量およびトランス脂肪酸の消費量の変化を評価、監視する・Create:政策立案者、生産者、供給者、国民にトランス脂肪酸が健康に及ぼす悪影響に関する認識を促す・Enforce:政策と規制のコンプライアンスを強化する

 これらの語の頭文字をつなげてREPLACE、というわけです。いわば、世界中の加工食品からトランス脂肪酸を排除するための戦略的行動指針というべきもので、それだけトランス脂肪酸を排除することが、人々の健康と生命を守るための鍵になると、WHOが認めたということでもあります。

 この動きは、遅かれ早かれ日本にも影響を及ぼすとは思いますが、それは日本が即、それに沿った行動をとるということではありません。むしろ、日本が変わるまでは、まだまだ時間がかかるでしょう。それは、もし加工食品に含まれるトランス脂肪酸の量を明確化することや、加工食品に含まれるトランス脂肪酸の割合に規制をかけることがあれば、多くの食品企業が猛反対をするのは必然だからです。裏を返せば、それほど大量のトランス脂肪酸が、日本の加工食品には含まれているといえます。

 これは、企業の存続を脅かしかねないくらい重大な出来事です。それがわかっているから、行政は規制をかけないのです。企業側も企業側で、トランス脂肪酸の悪影響について、消費者に詳しく知ってほしくはないのです。その意を汲んで、マスメディアも、詳しくは報じません。

 今や、トランス脂肪酸が排除すべき物質であることは、多くの人の知るところとなっています。しかし日本においては、現時点でトランス脂肪酸を加工食品から排除することはできないのです。排除できないことを、政治の責任だとか、行政に問題があるなどと言っても始まりません。また、トランス脂肪酸を摂取する人を嘲笑しても無意味です。

 では、私たちはどうするべきでしょう。どう対応するのが正しいのでしょうか。

 それは、トランス脂肪酸が危険な、食べるに値しないものであるということを知った人が、食べないようにする、食べることを拒否するしかありません。つまり、私たち自身の意識と、それに伴う行動の問題であると理解することが必要なのです。要は、自分自身の責任の所在を明確にするということです。

 なぜなら、トランス脂肪酸を食べて健康を害するのは自分だからです。盲目的な、希望的観測に基づいて、自分が食べるものや家族が食べるものを選択するのは愚かなことです。賢明な読者の皆様には、ご自分らしい判断と選択をしていただきたいと願っております。それが、数日後の、また数年後のご自分の健康に直結するからです。(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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引用元:ビジネスジャーナル

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