残業代なし長時間労働合法化の「高度プロフェッショナル制度」、全職種対象になる可能性も|マネブ

マネブNEWS:〔2018.10.21〕阪神・金本監督、チーム内の不満分子が解任を直訴か 現在の記事数:287297件

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残業代なし長時間労働合法化の「高度プロフェッショナル制度」、全職種対象になる可能性も


加藤勝信厚生労働大臣(写真:日刊現代/アフロ) 本連載前回記事では、本格的に論戦が始まる「働き方改革」関連法案のなかの「高度プロフェッショナル制度」の問題についてお伝えしました。

「高度プロフェッショナル制度」が導入されたとして、法律に違反する企業を取り締まるのは厚生労働省労働基準局の労働基準監督官になります。その監督官の数は、現在3241人です。すごい大人数のように思えますが、一方で監督指導対象となる事業所は全国に約428万件、そこで働く労働者は約5209万人です。つまり、労働基準監督官は1人あたり1320の事業所を監督し、1万6000人の働く人の労働条件を守らなくてはいけないということです。

 ただ、労働基準監督官は「高度プロフェッショナル制度」の違反だけでなく、あらゆる労働問題に対応しなくてはなりません。その数が、前述したように1人あたり1万6000人です。これは、もはや物理的に不可能といわざるを得ません。

 ちなみに、全国の約428万件のうち、定期的に監督を実施できているのは13万件くらい。せいぜい、これくらいしか見られないのが実情なのです。また、厚生労働省労働基準局が発表した、働く側からの賃金不払いなどの告発は2015年で2万件ほどが処理されています。ただ、送検までされたケースはわずか214件でした。

 そして、このような極端に人手が足りない状況のなかで、仮に「高度プロフェッショナル制度」の対象者がひどい労働条件で働かされていても、対応が後回しになる可能性が高いのです。

 なぜなら、労働基準監督署は、時間外労働や長時間労働、残業代を支払わないなどの違法行為を取り締まることを主な仕事にしていますが、「高度プロフェッショナル制度」の対象者は、すでに時間外労働や長時間労働、残業代を支払わないということが合法化されているからです。

「高度プロフェッショナル制度」の対象者からは、労働時間などの規制が外されます。もちろん、4週間で4日以上の休日はなくてはいけないのですが、基本的にそれ以外の3週間と3日は24時間働かせてもいいのです。ただし、過労死しないように有給休暇の付与や健康診断の実施など、いくつかの必要事項は設けられていますが、基本的にはエンドレスで働かせることが可能となっています。

 そのため、一度「高度プロフェッショナル制度」で契約すると、結果的にトラブルが起きて労働基準監督署に駆け込んでも、「それを承知で契約したあなたが悪い」ということになってしまう可能性があるのです。

専門職から「誰でもOK」になった「派遣法」

 現在は「高度な専門職」が対象の「高度プロフェッショナル制度」ですが、将来的には、どんな人でも対象になる可能性があります。なぜなら、法案には対象となる職種については書き込まれておらず、国会で議論しなくても厚生労働省の省令でいくらでも変えられるようになっているからです。

 実は過去にも、最初は「一部の専門家」が対象だったはずが、いつの間にか誰もが対象になってしまった法律があります。それは「労働者派遣法」です。「労働者派遣法」は1985年に制定され、翌86年に施行された法律で、通常の会社員では持っていないような高度な技術を持った通訳やソフトウェア開発など専門的な13業種が対象でした。

 しかし、これが政令(国会を通さない内閣の指示)により機械設計など3業種を加えた16業種になり、96年には26業種に拡大され、99年には派遣業種が原則自由化されました。ただし、この時点では、病院・診療所での医療業務や建設業務、警備業務などいくつかの業務では派遣が禁止されていました。

 しかし、その後、こうした業種も解禁になり、2015年の派遣法の改正では、「すべての派遣が原則3年までOK」ということになりました。結果的に、法律の導入当初は収入が高い専門職だけが対象だったはずの派遣社員は、専門的な知識がなくてもなれる「誰でも派遣」になり、収入面や待遇面でも正社員の一段下に置かれるようになりました。

「高度プロフェッショナル制度」も省令で職種を広げられるので、「労働者派遣法」と同じように、将来は誰もが対象になる可能性があります。ちなみに、「高度プロフェッショナル制度」について、日本経済団体連合会(経団連)などはかつて「年収400万円以上を対象にしろ」と言っており、こうした方向で年収のハードルも下げられていく可能性があります。

 もし「高度プロフェッショナル制度」が「労働者派遣法」のようになってしまったら、「給料が欲しかったら、朝から晩まで休まず働かなくてはならない」という“奴隷社会”がやってくるかもしれません。「あんな法律さえつくらなかったら、みんな幸せに働けたのに」と後悔しないためにも、ここは野党にがんばってもらうしかないでしょう。(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

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引用元:ビジネスジャーナル

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