東京の不動産、「大暴落論」は全く根拠がない現在の価格が「バブル状態」とは言えない理由|マネブ

マネブNEWS:〔2017.11.21〕1口1万円、「小口不動産投資」で何が変わるか新興 現在の記事数:251688件

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東京の不動産、「大暴落論」は全く根拠がない現在の価格が「バブル状態」とは言えない理由


中古マンション市場の「暴落」はありえないと断言できる理由とは?(撮影:谷川真紀子)

10月22日に行われた衆議院総選挙は、与党の圧勝で幕を閉じた。政権の安定運営と金融緩和政策の継続を見越して、日経平均株価も連続高値を更新し続けている。株価が堅調だと、不動産価格にもポジティブだ。しかし「今の日本の不動産市場はバブルだ。いずれ崩壊して大暴落する」という論調が消えることはない。

バブルは存在しないから、「崩壊」もない

一部地域では新築マンション契約率の低下に伴う売れ残りが見られ、値引き販売が行われているモデルルームも散見される。とりわけ、槍玉にあげられているのが、都心の湾岸地区。では中古マンションの売り物件が増えているが売れておらず、かつて国内不動産を爆買いした中国人からも売りが殺到しているというのが、暴落を危惧する人の主な論拠だ。しかし実態は本当にそうなのか。筆者は明言したい。国内不動産市場はバブルと呼べる状況ではまったくない。バブルが存在しない以上、崩壊も当然ない。

2012年12月、不動産価格や株価を低迷させた民主党政権から自民党へ政権交代が行われ、デフレからの脱却と富の拡大を目指す経済政策として、アベノミクス「3本の矢」が打ち出された。3本の矢のうち「3.民間投資を喚起する成長戦略」については実行性が乏しいとされ、物価目標の2%もいまだ達成できていない。

しかし、「1.大胆な金融政策 (金融緩和)」「2.機動的な財政政策 (財政出動)」は十分に効果的で、民主党政権時には一時8000円台と長らく低迷していた株価が大きく息を吹き返した。株価動向と軌を一にするように、国内不動産市場も大幅に回復した。日本銀行は、金融緩和政策の一環として、公開市場操作において、市場からJ-REIT(不動産投資信託)を年間約900億円買い入れてもいる。なにより実質金利低下をもくろむ「イールドカーブコントロール」を行う「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で、金利を底にへばりつかせている効果も大きい。

不動産経済研究所によれば、確かに首都圏の新築マンションは2015年後半から契約動向が鈍くなり始め、2016年に入ってから一段と低迷、契約率は市場の好不調を占う分岐点とされる70%を恒常的に割り込んでいる。2012年に5283万円だった都区部マンションの平均価格は、2015年に27%アップの6732万円をピークに低迷。2016年の発売戸数は3万5772戸と、リーマンショック後の2009年以来の低水準にとどまった。

不振の理由は明白で、価格が高くなりすぎたからだ。アベノミクス効果による地価上昇に加え、人件費や資材価格高騰による建設コストの上昇、また低金利が住宅ローン利用者の購買力を上げ、借り入れを通じて事業を行うデベロッパーにも恩恵をもたらしたといった側面もある。東京カンテイによれば、首都圏の新築マンション価格(70m2換算)を平均年収で除した年収倍率は、2012年の8.7倍から10.68倍へとハネ上がった。

しかし、それ以降の動向を冷静に眺めるとどうだろう。首都圏新築マンションは2017年に入ると5000万円台後半へと、一段と上昇し、契約率も70%前後へと回復している。都区部に至っては7159万円と、36%(2012年比)もの上昇と、すっかり回復しているではないか。数字を追いかけてみれば、バブルが存在し、それが崩壊するといった論拠はすでに崩れている。

発売戸数が少なくなっている本当の理由

では、いったい何が起きているのか。昨今の新築マンション市場の特徴は「弾力性」があることだ。とりわけ、首都圏新築マンション市場は大手の寡占が進んでいる。リーマンショック前の大手寡占率は20%程度だったが、現在では40%以上が大手による供給になっている。マンションの立地について都心・駅近などを中心に厳選する傾向が強まっていること、建物のタワー化や大型化が進んだことで事業総額が膨らむことから、中小規模のデベロッパーには手を出せなくなっていることが理由の1つだ。

このところ、発売戸数が少ないことには明確な理由がある。体力のある大手にとっては、新築マンションはしょせん事業ポートフォリオの一部にすぎない。在庫や売れ行きなどの市場動向をうかがいつつ、供給調整を行っているのが実態だ。もちろん完成在庫もあり、現場では値引き販売も行われているが、すぐに売れないと破綻するという状況でもないため、焦りはない。こうした弾力性のある市場では、世界的な大規模経済・金融危機や、大規模な震災、または極端な金利上昇でも起きないかぎり、大きく崩れる要素はないのだ。

中小規模のデベロッパーも、リーマンショックの反省を生かしている。かつてのように新築マンションに過度に傾倒したり、ファンドなどに賃貸マンションを建設・販売するような新築依存にはなっていないところが多い。地方都市の県庁所在地などに主戦場を移したり、中古マンション再生や仲介、介護事業などに事業ポートフォリオを多角分散させるなどしており、以前に比してかなり慎重な経営姿勢を見せてもいる。

リーマンショック前には、高騰する地価を受けて都心から離れ、都心から30kmから40km圏内の、いわゆるかつてのベッドタウンにまで新築マンション事業が行われていた。しかし、多くの市場プレーヤーにはまだリーマン・ショックの記憶が残っており、以前に比してこうした開発にはかなり慎重だ。

一般に「バブル崩壊」といえば、相場から著しく乖離して上昇した資産価格が、何かのきっかけではじけてしぼんでいくというイメージを持つ人が多いだろう。また、「暴落」といえば、現在の価値から、半値やそれ以下になるという状況を想定するものと思われる。一部では「都心湾岸のタワーマンションは現行の坪300万円台から100万円台に暴落する」といった見解もあるようだが、そうなる可能性はほとんどゼロだ。

その理由は、不動産価格の裏付けとなる「賃料」を考えれば分かる。仮に都心湾岸地区の賃料が3分の1に落ちるなら、そうした暴落はありうる。しかし、ほかの先進国に比しても日本の不動産賃料は下方硬直性が高い。それが、短期のうちに3分の1に下がる可能性はほぼゼロあり、したがって坪100万円台になる可能性も、ない。

「爆売り」といった状況は見られない

なぜこれほどまでに暴落論が語られるのか。2012年に中国人が買った新築マンションが、譲渡所得が大幅に税制優遇される5年の期限が切れることを境に一斉に売りに出されるという連想が働いているのかもしれない。しかし、長期譲渡として認定されるのは原則として「引き渡しから5年」である。タワーマンションは契約から引き渡しまで、1年から2年、場合によってはそれ以上かかるものも多い。確かに、中国人を中心とした外国人のいわゆる「爆買い」はかつての勢いを失い、中古マンション市場では売りも出ているが、2017年に「爆売り」とまで言える状況ではない。

また、世界的な視点から日本の不動産市場を見てみると、バブルから程遠いこともわかる。アメリカやカナダ、オーストラリア、アジア諸国の主要都市では、日本市場をはるかに上回るチャイナマネーが不動産市場を席巻、不動産価格の吊り上げが社会問題化している。

中国による対オーストラリア住宅投資は15年時点で42億オーストラリアドル規模(約3700億円)であり、アジアタイムズによれば、過去3年間におけるマレーシアの不動産投資の内、実に46%が中国からの投資である。これに比べれば日本の湾岸タワーマンションへの中国人の投資額などかわいいものだ。資金の引き揚げが起きたとしても、ごく一部の影響にとどまるだろう。日本の不動産市場の先行きについて「バブル崩壊」「大暴落」を心配する状況には、どのような観点から考えてもありえないのである。

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引用元:東洋経済オンライン

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