三井不動産がニューヨーク最大級ビル建設、報じられない巨額損失リスク…三菱地所の悪夢|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.12〕「区政ファースト」千代田区長に、「税金の無駄遣い 現在の記事数:252927件

-

三井不動産がニューヨーク最大級ビル建設、報じられない巨額損失リスク…三菱地所の悪夢


三井本館(「Wikipedia」より)

 三井不動産は、米ニューヨークのマンハッタンに地上58階(高さ約300メートル)の超高層オフィスビル「50ハドソンヤード」(仮称)を建設する。総事業費は4000億円超で、9割を三井不動産が出し、残りを現地企業が負担する。年内に着工し、2022年の竣工を目指す予定で、完成後も長期保有するという。

「50ハドソンヤード」は、マンハッタンで米国有数のデベロッパーなどが手掛ける大規模開発プロジェクト「ハドソンヤード」(面積11ヘクタール)の敷地内に建設する。ビルの敷地面積は6400平方メートルで、地下3階、地上58階建て、延べ床面積は26万平方メートル。01年の米同時多発テロで倒壊した世界貿易センタービルの跡地に建てられた「ワン・ワールドトレードセンター」とほぼ同じ規模で、単体のオフィスビルとしてはマンハッタンで最大級となる。

 オフィスのほかに店舗も入る。大型テナントの本社利用を想定し、専用ロビーフロアを複数設ける。すでに中核テナントのひとつとして、世界的な資産運用企業ブラックロックと賃貸借契約を結んだ。

 ブラックロックは、30カ国以上で資産を運用しており、運用資産残高はグループ全体で639兆円(17年6月30日時点)に上る世界有数の資産運用会社だ。バンク・オブ・アメリカをはじめとした欧米の金融機関や、邦銀でもみずほフィナンシャルグループが出資している。

 ブラックロックを育てたローレンス・フィンクCEO(最高経営責任者)は、米投資銀行ファースト・ボストン(クレディ・スイスが買収)を経て独立。知日家として知られる。

 ブラックロックの日本法人が今年1月、東芝株を5%以上購入して話題になった。同社の投資先はキヤノンや富士通、パナソニック、ソニー、東レ、花王など、日本を代表する企業20社に及んでいる。

 三井不動産は、「50ハドソンヤード」を世界最大のファンドの総本山にしたい考えのようだ。

 マンハッタンは1980年代末に容積率が変更され、ビル建て替えの利点が薄まり、90年代以降は新築ビルの供給が激減した。年平均供給量は東京都心3区(千代田、中央、港)の3分の1の20万平方メートル程度。オフィスビルの供給が少ないため希少性が高く、長期間、安定した賃料収入が見込めるとしている。

 三井不動産の開発案件としては、日本国内を含めて最大規模となる。英国ロンドンでは巨費を投じて再開発事業

 米国のプロジェクトへの参画は、三井不動産が掲げるグローバル事業「イノベーション2017ステージ2」の一環だ。15年度から18年度までの3年間に、海外事業へ5500億円を投資し、海外事業の利益を300億円以上、海外事業の資産比率を12%程度にするとの目標を掲げている。17年3月期の実績では、海外事業の営業利益は159億円、海外資産は5570億円で、海外事業の資産比率は12.7%で目標をクリアした。今後は、収益を上げることが課題だ。

 他方、英国では15年から英国放送協会(BBC)の跡地でマンションやオフィス、ホテルなどの複合施設の開発を進めている。世界有数の金融街であるロンドン・シティの中心地でのプロジェクトで、敷地面積は東京ドームの2.6個分、総事業費は4000億円に上る。ロンドンにおける日系企業の都市開発としては最大規模だ。

 三井グループの源流「越後屋」発祥の地・日本橋は、かつては日本の文化、経済の中心地として栄えた。だが現在は、老舗が軒を並べるが、往時の賑わいは消えた。IT(情報技術)などの新興企業は、六本木や渋谷に集まる。そのため、日本橋は一時期、「黄昏の街」などと揶揄されたほどだ。

 そこで三井不動産は、日本橋に活気を取り戻そうと立ち上がった。官民一体になった「日本橋再生計画」が大きく動き出し、日本橋に新規来街者が増えてきた。日本橋再生計画の成功で自信を深めた三井不動産は、英国と米国で大型投資に踏み切ったのだ。海外での大規模プロジェクトへの参画は、グローバル企業へと飛翔するための試金石となるだろう。

三菱地所の二の舞になる懸念

 そんな三井不動産の海外投資は、バブル期の三菱地所を彷彿させる。

 89年10月31日、三菱地所はロックフェラー・センターの持ち主、ロックフェラー・グループ社(RGI)の株式の51%を約1200億円で取得すると発表した。

 高層ビルが立ち並ぶロックフェラー・センターは、米国の富の象徴でありニューヨークの名所でもある。ニューヨークを紹介する時に必ず出てくるのが、世界一大きなクリスマスツリーが飾られ、冬はスケートリンクが開設されるロックフェラー・センターだ。

 そのため、三菱地所による買収でニューヨークに衝撃が走った。日本で例えれば、三菱地所のシンボルだった丸の内ビルディング(丸ビル)を韓国企業が手に入れたようなものだ。

 ニューヨーク・タイムズは一面で「日本人がニューヨークの記念碑を買収」と大きく取り上げた。テレビのニュース番組は、ソニーによるコロンビア映画の買収と合わせてロックフェラー・センターの買収を繰り返し報じた。なかには、ゼロ戦(三菱零式戦闘機)が登場する映画のワンシーンまで流し、対米侵攻のイメージとだぶらせようと意図する番組もあった。

 三菱地所は1200億円で買収すると発表したが、この金額では収まらなかった。円高と国内の土地の急騰で、「三菱地所は米国へ投資したがっている」と足元を見透かしたRGIは、交渉過程でどんどん金額を吊り上げたのだ。

 そのため、三菱地所は91年までに株式を買い増し、RGIの株式の80%を買い取るハメになり、最終的な買収額は2200億円に上った。当初より1000億円も上積みしたことになる。

 ところが、米国不動産市況の悪化で賃料は暴落。三菱地所が買った物件は利益が出ない劣悪なものに成り下がった。そして95年5月、三菱地所はRGIの破産を申請し、ロックフェラー・センターから撤退。96年3月期決算で1500億円の特別損失を計上した。

 三井不動産の投資額は、三菱地所がRGIを買収した価格の1.8倍だ。三菱地所の二の舞になる懸念は消えない。(文=編集部)

マネマガ
参考になったらシェア

引用元:ビジネスジャーナル

同カテゴリの新着記事

画像
「区政ファースト」千代田区長に、「税金の無駄遣い」「不動産業者との不適切な関係」と疑いの目が!

千代田区長 石川まさみ オフィシャルサイトより 小池百合子東京都知事が特別顧問を務める「都民ファース

画像
フジテレビが赤字転落、もはや不動産会社がテレビ局を経営している状態

FCGビル(「Wikipedia」より) 民放キー局の2017年4~9月期決算によると、フジ・メディ

画像
<新興国eye>S&P、ベトナム不動産開発最大手ビングループを格上げ―不動産業で過去最高

 米格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はこのほど、ベトナム不動産開発最大手ビングル

画像
日本の不動産バブル崩壊は、中国からやってくる

「Thinkstock」より 不動産の資産価値を評価する鑑定法は、主に3つある。(1)収益還元法(2

画像
<新興国eye>前週の上海総合指数、不動産・金融株の利益確定売り3週続落で=BRICs市況

 前週(11月27日−12月1日)の中国株式市場は主要指標となる上海総合指数の12月1日終値が11月

画像
所有者不明の不動産に困惑する行政側の悲鳴空き家の取り壊しひとつで四苦八苦

手つかずになり、つたに覆われた空き家。今後は所有者が見つからないケースも考えられるという=10月、福


-