不動産価格暴落を招く「街の縮小計画」の悲劇地方だけじゃない!世田谷でもリスクはある|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.16〕やっぱりバブルの今を読み解くポイント7選不動産神 現在の記事数:253001件

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不動産価格暴落を招く「街の縮小計画」の悲劇地方だけじゃない!世田谷でもリスクはある


今年の路線価が7月3日に公表され、銀座5丁目の銀座中央通りが4032万円で、32年連続で日本一となったが…(撮影:梅谷秀司)

東京国税局は7月3日に2017年度の路線価を公表した。それによると、全国約32万5000地点の対前年変動率は、全国平均で0.4%のプラスとなった。背景には、住宅需要の高まりや、訪日外国人者数の上昇に伴うインバウンド需要があるとされている。

とりわけ、都心の超一等地である銀座中央通りの鳩居堂前は26.0%上がって4032万円と、バブル期(1992年)の3650万円を上回って過去最高路線価を更新した。これは、GINZA SIX(ギンザシックス)をはじめとする新規投資の影響などと分析された。

価格がどうなるかという問題以前に…

こうした話を聞くと、何やら日本の土地は非常に景気がよくなっているのではないかと思う人もいるだろう。しかし、銀座などの超一等商業立地や、ニセコのように外国人観光客で沸く地点はともかく、全国の住宅地価格が今後も上昇したり、価格を維持できる可能性は、ほとんどない。

国土交通省が2014年に公表した『国土のグランドデザイン2050』では、現在人が住んでいる地域の60%以上で人口が半減もしくはそれ以下となり、20%は無居住化するとされている。多くの地域が、価格がどうなるかという問題以前に、「消滅の危機」にあると指摘しているのだ。

不動産価格は、いうまでもなく需要と供給で決まる。むろん、景気動向や金利などにも影響を受けるが、人口減少で圧倒的な需要減が見込まれる住宅が、その価値を長期的に維持できるはずもないのは自明だろう。

国もこうした状況は理解しており、手をこまねいて見ているわけではない。そこで打ち出されたのが、「立地適正化計画」だ。これは、簡単にいえば「街を縮める政策」である。

人口・世帯数が減少すると、上下水道などのインフラ維持やゴミ収集・除雪などの行政サービスが非効率極まりないことになってしまう。その分、税金を数倍に上げれば解決はできるが、そんなことは事実上不可能だ。そこで、街を「人が集まって住むエリア」と「そうでないエリア」に思い切って分断するのである。2017年4月末の時点で、348の自治体が本計画の作成に着手している。

本格的な人口減少が始まる前に対策を打つ

まずは商業施設や福祉・医療施設などの立地を促す「都市機能誘導区域」を設定する。その周辺には、人口密度を維持ないしは増加させ、生活サービスやコミュニティが持続的に確保できるよう居住を誘導する、「居住誘導区域」を設ける。また、こうした拠点を結ぶ鉄道やバスなどの公共交通ネットワークなども、併せて位置づける。さらに、この地域には容積率の緩和や税制優遇、補助金制度などで、他の地域からの移転も促していく。

一方、居住誘導区域外で3戸以上の住宅の新築や1000平方メートル以上の開発行為をする場合は、市町村長に対し事前の届け出が必要となっていて、支障があると認められた場合には、市町村長は立地適正化のための勧告ができる。

こうした都市計画というものは、息の長い取り組みで、ある日、線引きされたからといって、突然何かが変わるわけではない。どの自治体でも15~20年後といったスパンを展望しつつ、5年ごとに見直しを行うとしているケースが多い。それでも、これから本格的な人口数減少が始まる中で、街にドラスティックな変化が起こるのは間違いがない。現行の規制はまだ緩いものであるが、徐々にその枠組みは強化されるだろう。

これからマイホームを買おうとしている方も、すでに買って住んでいる方も、自身が所有する不動産が立地適正化区域内に入りそうかどうかは、必ず確認しよう。区域内ならひとまず安心だが、仮に区域外だとどうなるだろうか。

まず、不動産価格の将来的な資産性は見込めないと覚悟しておこう。上下水道のインフラ修繕は後回しとなり、やがては修繕すら行わないということになる可能性が高い。ゴミは区域内まで運んで捨てなければならなくなるだろう。除雪も自己責任で行うしかない。

そうするうち、区域外に住む人はどんどんいなくなり、最後には無居住化するだろう。空き家もわざわざ取り壊すことはなく、犯罪の温床となり荒廃した街になろう。

都市部だからといって、無関係な話ではない

さて、こうした未来は都市部には無関係だと思われる向きも多いのではないだろうか。ところがそうではない。東京23区内であっても安心はできない。現在は人口増加を続ける世田谷区のような自治体であっても、いつかは人口・世帯減の局面がやってくるし、その際には立地適正化計画を運用しなければならないだろう。

このときに、真っ先に区域外となるのは「災害可能性」のある区域だ。たとえば「土砂災害」の可能性のある区域などは外れる可能性が高い。「浸水」もしかり。浸水というと低地をイメージしがちだが、比較的標高の高いところでもまったく安心はできない。

たとえば前述した東京・世田谷区は、台地部は標高30~50m、低地部は標高10~25mと、比較的高度差のある地勢だが、世田谷区の洪水ハザードマップによれば、2m未満、あるいはそれ以上の浸水可能性がある地域がたくさんあり、そうしたところには現在、多くの住宅が立ち並んでいる。

なぜ標高が高いのに浸水する可能性があるのか。それは「集中豪雨」によるものである。東京をはじめとする都市は一般的に、雨水の排水能力について、1時間当たり50~60㎜の降雨量が想定されている。ところが、昨今の集中豪雨は1時間当たり80㎜、100㎜となることも決して珍しくない。

こうしたときには雨水を排水しきれず、あふれ出た雨水が、周辺に比して相対的に低いところに集まってしまうのだ。人間の平均身長よりはるかに高い2mもの浸水に見舞われては、ひとたまりもない。したがってこうした地域は、立地適正化区域外になる可能性が最も高いのだ。実際、これまでに策定された区域案を見ると、こうした地域はほぼ例外なく区域外とされている。

現在時点では、こうした浸水可能性のあるエリアとそうでないエリアにおいて不動産の資産格差は見られないが、やがては天地ほどの差が開く可能性が高いことを踏まえておこう。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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