悪質「不動産コンサル」の食い物になる人たち不当な「マージン」の慣習はいつまで続くのか|マネブ

マネブNEWS:〔2017.05.23〕不動産業界の「経験と勘」ビジネスが終わる日国交省 現在の記事数:240750件

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悪質「不動産コンサル」の食い物になる人たち不当な「マージン」の慣習はいつまで続くのか


不自然に安すぎるコンサルには、注意が必要だ(写真:夏夫 / PIXTA)

不動産・建設業界はバックマージン天国だ。たとえば、不動産仲介会社がリフォーム会社に顧客を紹介し、成約になれば7〜10%のバックマージンが不動産会社に渡る。リフォーム工事価格が200万円と提示されていても、バックマージン分を考慮すれば実質的には180万円に過ぎない。そうした余計な出費を、わざわざ負いたいという人はいないだろう。今回は、マンション管理コンサルの世界におけるバックマージンの問題について考えてみよう。

「安すぎる見積もり」でだまされる管理組合

多額の費用がかかるマンションの大規模修繕では、特に大きな問題が起きがちだ。マンション管理組合の役員に、建物や法律に詳しい専門家がいることはまれであり、そうした場合は、工事の必要性や価格の妥当性を判断することができないからである。そこで、マンション管理会社や設計事務所、コンサル会社などが間に入り、劣化診断や建物調査、見積もり比較、業者決定のアドバイス、工事の進捗管理などを行うのが一般的だ。

このように設計コンサルタントなどが管理組合の意思決定をサポートする、いわゆる「設計監理方式」では、管理組合が委託したコンサル会社などが、管理組合の利益最大化を図るべく、大規模修繕見積もりの妥当性や、そもそもその工事が必要なのかをアドバイスすることが期待されているはず。しかし、実際にはまったくそうなっていないどころか、むしろ管理組合側に損失を被らせているケースも散見される。

特に、不自然なほどの低価格で見積もりを出してくるコンサルが接触してきたら、注意しなければならないだろう。まず間違いなく、裏でマージンの取引があると考えたほうがいい。目先の甘い話には、必ず理由があるものということを忘れてはいけない。

マンション管理組合が食い物にされている事例は少なくなく、発注者の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在は、以前から指摘されていた。国土交通省も、2017年1月、管理会社や管理組合の団体などに「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通知を出し、住民に注意喚起するよう促している。

バックマージンを受け取っている設計事務所やコンサルは、バックマージンを受け取っていないコンサルの数分の1といった格安の報酬で管理組合から業務を請け負う。その一方で、工事費の10〜20%のバックマージンを業者などから受け取っている。

マージンがなければ工事費はもっと安かった

工事代金が5千万円なら、そのバックマージンの額は500万円から1千万円にもなる。このバックマージンは、マンション管理組合が支払う工事費から出ているわけで、本来の工事費はもっと安かったはずだ。そもそも、見積もりに参加している工事業者は、コンサルがバックマージンを支払わせる約束を取り付け済みの会社ばかり、といった状況となっている。

バックマージンを受け取っている以上、工事会社に厳しくチェックや指導することなどできるはずもない。そもそも、コンサルが自分で行うべき劣化診断・建物調査や工事監理も自社で行わず、工事の受注を条件に施工業者に無償でやらせて丸投げするケースもある。バックマージンが上乗せされ、高い工事代金を払わされたうえに、品質の悪い工事などされては、発注者である管理組合としてはたまったものではないだろう。まさに踏んだり蹴ったりだ。

見積もりに参加している工事業者が、あらかじめ談合していることも多い。横浜市のとあるマンションでは、コンサルから紹介された工事業者5社の見積もりが、ほぼ5億円と同額だった。これに管理組合の理事たちが疑問を持ち、独自で工事業者に見積もりを取ったところ、3億5000万円でできることがわかった。

また、千葉県のとあるマンションでは、築40年が経過したため3度目の大規模修繕を行うことにしたとき、とある設計事務所にコンサルを依頼した。すると、組合が管理している修繕積立金額とほぼ同額である、3億5000万円の工事代金を3社が提示。「われわれの積立金を、今回の工事で使い切らせようと画策しているのではないか」と複数の理事が疑問をいだき、独自に見積もりを取ったところ、半額程度の1億8000万円で済むことがわかった。

不動産業界のリベート慣習の根は深い。顧客が新築アパートを建てれば、3%程度のバックマージンを得ることができる。この場合、賃貸管理会社もセットで紹介し、管理料5%のうち2%をバックマージンとして毎月受け取っているケースもある。

司法書士、プロパンガス店からも……

ホームインスペクション(住宅診断)も例外ではない。ホームインスペクターが仲介業者に営業に回って仕事の紹介をお願いし、「つきましては紹介料をお支払いします」とやるわけだ。同様に、賃貸の仲介時に顧客に引っ越し業者を紹介すれば5千円から1万円程度の紹介料を得ることができる。不動産登記を業務とする司法書士や、プロパンガス店からも多額の紹介料を受け取れる。

もちろんすべての業界人がこのようなことをしているわけではないが、こうした慣行は、この業界では半ば常態化している。こうした業界の構造、仕組みがどのようになっているのかを知ることは、ムダな支出を減らし、必要なところに適切にコストを掛けることにつながる。特に、額が大きく動く大規模修繕の場合は、「不自然に安すぎるコンサル」には十分注意しよう。

最後に、「敵は内にあり」というケースもあるので注意したい。世田谷区の某マンションでは、理事長が10年以上変わらなかったこともあり建設会社と癒着してしまい、長年に渡って多額のリベートを受け取っていることが発覚した。

マンションの修繕積立金といえば、中規模のマンションでも軽く数億円にものぼり、大規模マンションなら10億円単位と巨額だ。この資産を狙われる、奪われるのは、マンション管理に関心が薄い所有者が多いマンションであることは言うまでもない。つねに自分の頭で思考をめぐらせて判断していかなければ、いつ「カモ」にされてしまうかわからない。それが現実なのである。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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