家賃保証を疑わない人が嵌る不動産投資の罠大金をつぎ込んで起業することと同じだ|マネブ

マネブNEWS:〔2018.10.20〕不動産フリマサイト「FLIE」の利用者急増…数百 現在の記事数:287396件

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家賃保証を疑わない人が嵌る不動産投資の罠大金をつぎ込んで起業することと同じだ


多発するトラブルの背景にあるのは?(写真:KY / PIXTA)いつの世も絶えない投資トラブル。なぜ、引っかかる人が後を絶たないのか。「怪しい投資話を疑わない人が知らない大原則」(3月27日配信)に続いて、短期集中連載の第2回は、「かぼちゃの馬車」で大騒動が起きている不動産投資に言及したい。

昨年からスマートデイズ(東京都中央区)が運営する女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」に関するニュースが大きく報じられている。

かぼちゃの馬車をめぐっては、スマートデイズから「高い家賃を30年間保証する」などと勧誘された会社員らが1棟当たり約1億円の融資を受けて、一括借り上げ(サブリース)契約を締結した。ところが昨年10月に突然家賃が減額され、今年の1月からは、家賃がまったく支払われない事態に陥っている。

不動産投資は株と並んで資産運用の王道ともいえる。否定するつもりはまったくないが、現物不動産への投資(マンションやアパートを直接買うこと)は難易度が高く気軽にやれるものではない。多くの人が同じように考えていると思うが、その抵抗感を和らげるものとして使われるのがサブリース、いわゆる「家賃保証」だ。

ところが、大幅に家賃保証を引き下げられた、家賃保証を一方的に打ち切られた、といった不動産投資の中でも家賃保証に関するトラブルは何年も前から報じられている。

かぼちゃの馬車で破綻した家賃保証という仕組み

シェアハウス・かぼちゃの馬車への投資でも支払いが停止したことで大問題となったサブリースだが、本来サブリースは「家賃保証」を意味しない。直訳すると転貸(てんたい)とか又貸しという意味になる。「一括借り上げ」と表現している事業者もあるが、借り上げた不動産を誰かに貸すと考えれば意味としては又貸しと同じだ。

サブリースの仕組みは、Aさんが保有する不動産をBさんが借り、BさんがCさんに貸す、という流れになる。文字どおり又貸しだ。

その際、Bさんは入居者の有無にかかわらずAさんに家賃を払う契約を結ぶ。Cさんから受け取った家賃をすべてAさんに払ってしまえばBさんのメリットはゼロになってしまうが、入居者の有無にかかわらず家賃の85%をAさんに必ず払うといった契約ならば空き家にならないかぎり家賃の15%はBさんの儲けとなる。

Aさんは85%の家賃でも利益が出るのであれば空室リスクを気にせず賃貸経営ができる。

サブリースは本来AさんBさんともにメリットのある取引になるはずだが、かぼちゃの馬車を投資家に提供していたスマートデイズは保証した家賃を支払わなくなった。投資家の多くは会社員ということなので、シェアハウス建築のための借入金を給料だけで返済することは困難だろう。

支払い停止になった理由は入居率が低かったことが直接的な原因だという。結局は「女性専用のシェアハウスにどれくらいニーズがあったのか?」「ニーズがあったとしても価格や場所に問題はなかったのか?」ということになる。

家賃保証は保険会社でも提供できない?

かぼちゃの馬車で被害者となった投資家には申し訳ないが、今回のトラブルは「家賃保証」を過剰に信用しすぎたとしか言えない状況だ。

その判断に対するリスクを避けるために家賃保証があったはずなのに……と投資家は考えていたと思うが、家賃を保証することは賃貸経営において空室リスクを保証することであり、「リスクの保証」は保険会社が販売する生命保険や医療保険と仕組みとしてはまったく同じだ。

保険会社は保険を販売するにあたって、金融庁から極めて厳しい管理を受けている。金融機関としての格付けや支払い余力(ソルベンシー・マージン比率)も公表され、アクチュアリー(保険数理人)という弁護士よりも取得が難しいと言われる高難度の資格保有者によって妥当な保険の販売価格が決められている。

生命保険であれば、「○歳の日本人男性が1年以内に死亡する確率は△%、だから契約者に□万円の保険金を払うには保険料は×円くらいが妥当」、といった具合に過去のデータから統計的に計算が可能だが、空室リスクにそのような値付けは果たして可能なのか。

不動産は物件ごとに性質が異なり、女性専用のシェアハウスの需要となれば過去のデータ蓄積が少ない分さらに予測が難しい。その空室リスクを保証するとなればいったいどれぐらいの保証料が妥当なのか、つまり生命保険でいう保険料をいくら取ればいいのか。アクチュアリーですらまともに計算できないのではないか。

そして家賃保証を提供する不動産会社の財務的な基盤は、保険会社並みに厳しく規制されるべきだが、そのような状況にはまったくなっていない。

スマートデイズに限らず、結局はいち不動産事業者に「家賃保証」を提供できると考えるほうが間違っていたということになる。家賃保証という言葉を避けて、一括借り上げやサブリースと表現するにとどめている会社もあるが、大手不動産会社でもいまだに家賃保証と表記している会社も珍しくない。これは証券会社の営業マンが「絶対に儲かります」と説明して株を売っているくらい危険に見える。

家賃保証で安心させて不動産投資に引き込む、というやり方は何年も前から問題視されてきたが、かぼちゃの馬車のトラブルをきっかけに曲がり角を迎えるかもしれない。今後は投資家とスマートデイズ、そしてスルガ銀行と三者がそれぞれどのような形で損失を負担することになるのか現時点ではまったくわからないが、少なくとも投資家が無傷で済むことは考えにくい。

不動産投資は起業である

現物不動産への投資を検討している人に筆者が必ず伝えることは「不動産投資は大金をつぎ込んで起業することと同じですよ」というアドバイスだ。不動産は株よりローリスクで楽に儲かりそうと考えている人は少なからずいるが、このようにシビアな説明をすれば大抵の人は(おそらく今回かぼちゃの馬車でトラブルに巻き込まれている人も)やめておこうと考えるのではないか。

今回の事例で言えば、割高な物件を買わされても、取引の過程で自身の知らぬ間に詐欺が行われたとしても、すべては自身で対処する必要がある。杜撰な審査をしていたのではないかと批判を受けているスルガ銀行の融資体制について金融庁が調査に乗り出したようだが、これは損をした投資家のためではなく、預金者保護が主な目的だろう。

「不動産投資は起業である」この理解が広まれば、安易に不動産投資を始める人も減り、トラブルに巻き込まれる人も減るだろう。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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