小泉進次郎氏が推進する「こども保険」の正体日本は「社会で子どもを支える国」になれるか|マネブ

マネブNEWS:〔2017.11.23〕22日の債券市場見通し=株高に警戒感も売られにく 現在の記事数:251688件

-

小泉進次郎氏が推進する「こども保険」の正体日本は「社会で子どもを支える国」になれるか


藤沢烈さんに「こども保険」について教えてもらいました(撮影:尾形文繁)衆議院議員総選挙が終わり、第4次安倍晋三内閣が発足しました。総選挙のマニフェストには「子育て支援」の財源を消費税アップで賄うことが発表され、選挙後には、保育所整備に向けた企業拠出金の増額が検討されています。一方、「選挙の顔」として大活躍だった小泉進次郎氏は、子育て世代への支援策として「こども保険」を提案しています。この政策を提言した「2020年以降の経済財政構想小委員会」(委員長代行:小泉進次郎)のオブザーバーを務め、その議論の推移をまとめた『人生100年時代の国家戦略――小泉小委員会の500日』を執筆した藤沢烈さんに、詳しくお話を伺いました。まずは「こども保険」って、どんなものなのでしょう?「こども保険」は社会保険の新ジャンルこの連載の過去記事はこちら

木本:まずは「こども保険」についてわかりやすく教えてください。

藤沢:社会保険の新しいジャンルです。そもそも、社会保険って何かわかりますか。大きいものは3つあります。

木本:それ少し予習をしてきたんですよ。年金、医療保険、介護保険ですよね?

藤沢:正解です。それでは、社会保険と普通の保険、2つの違いがわかりますか?

木本:難しいですね。掛け金が違うとか?

藤沢:社会保険は基本的には全員加入です。生命保険などの普通の保険は、保険料のみで運営されます。一方で医療保険や年金は、国のおカネで補助されるんですね。また社会保険では高所得者ほど保険料が高く、低所得者ほど保険料が安くなっています。ですから、社会保険を普通の保険と同じものと考えてはいけません。

では、年金、医療保険、介護保険の共通点はわかりますか。それがこども保険を設立しようとする理由なんですが。

木本:共通点、ちょっと想像がつかない。年を重ねるごとにリスクが高くなるという感じがしますけど?

藤沢:そのとおりです。主に高齢者のために使われているのが共通しているんですね。年金は65歳から支給。医療保険も介護保険も、高齢者がより使っています。ですが、社会でいつおカネが必要かというと、子どもを産んだときも、とてもおカネがかかりますね。

藤沢 烈(ふじさわ れつ)/1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業等に特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立し、情報分析や社会事業創造に取り組む傍ら、復興庁政策調査官も歴任。総務省地域力創造アドバイザー、釜石市地方創生アドバイザーも兼務。復興活動の中で小泉進次郎氏と出会い、小泉小委員会(2020年以降の経済財政構想小委員会)民間オブザーバーに就任(撮影:尾形文繁)

木本:そうですよね、それが少子化にもつながっていたりしますよね。

藤沢:日本は、世界と比べても高齢者には手厚く社会がサポートしていますが、子育て世代にはサポートがなかった。もちろん保育所などがありますから最近は頑張っているんですが、社会保険という大きく重い負担のものは、子育て世代には支給されずアンバランスなんです。

また、ご指摘のとおり少子化の原因の1つにもなっている。保険料は国民のほとんどの人が払っていますが、子育て世代はあまり受け取っていない。そのバランスを少し戻そうとして考えられたのがこども保険ということです。

木本:なるほど。「子育てに目に向けよう」というのが大まかな趣旨なんですね。

藤沢:子どもが生まれたときにおカネがかかって、成人になると稼ぐ側になって、年寄りになると社会に守ってもらうというサイクルです。人生の後半はしっかり守られているんですが、前半の負担のかかるところへのフォローが弱いということで考えられた仕組みです。

「こども保険」という言葉に違和感

木本:僕は「こども保険」という言葉にちょっと違和感を覚えたんです。保険という言葉には、何か起こったときの担保みたいなイメージがあります。ケガをした、交通事故を起こしたから保険というイメージが強い。だから、「子どもが生まれるのがよくないことなの」という、ややネガティブなニュアンスにならないかと心配になったんです。

藤沢:なるほど、木本さんのイメージは、普通の生命保険や自動車保険に引っ張られてしまっているかもしれません。こども保険は年金保険に近いものと思ってほしいですね。冒頭にも申し上げたように、社会全体で支えないといけない部分をカバーするのが社会保険なんです。

木本:もっと言葉をワイドにとらえないといけないんですね。そこはクリアになりました。単純にすごくいいことじゃないですか。制度ですから、国民のみんなにある種の負担がかかってくるでしょうが、僕らのやるべきことは。

藤沢:どんな負担になるかというと、一般に国民年金や、会社勤めの方は厚生年金を払っていますよね。それに0.2%を上乗せします。特に厚生年金部分には、会社にも同じ0.2%を負担してもらう。たとえば年収400万円の人が0.2%支払うとすると、月に480円。ワンコイン負担していただくことで、試算では6800億円が積み上がる。その予算があれば、ざっくりいうと待機児童問題が解決します。

木本 武宏(きもと たけひろ)/タレント。 1971年大阪府生まれ。1990年木下隆行とお笑いコンビTKOを結成しツッコミを担当。2006年、東京へ本格的進出。S−1バトル優勝、キングオブコント総合3位などの受賞歴がある。現在は、ドラマやバラエティなどピンでも活躍中。最近ライザップで肉体改造に成功。今度は知力を改造して新境地を開く野望を持っている(撮影:尾形文繁)

木本:保育所がタダになるんですか?

藤沢:通わせるためにはおカネはかかります。ただ、足りなかった保育所を確保することができます。認可保育所に入れる人は安く使えるんですが、そもそも数が足りなかったのです。

木本:足りないから認可外の高いところへ行かざるをえない。

藤沢:できれば、安い保育所に通わせたいですよね。保育所を提供すること以外にもいろんなことに使えますが、大きいのは待機児童です。ですから、こども保険の財源をそこに使えるのではないかということです。0.2%から上げていくことも可能です。ただ、480円はお昼ご飯代1回分くらいですが、それを負担に思う人も少なくないはずなので、それを上げるかは議論が必要です。

木本:まず0.2%からの議論なんですね。

藤沢:「0.1%から」という議論もありますが、3400億円でも待機児童解消には大きく寄与します。いずれにしてもこれで、まずは大きな待機児童の問題をきっちり解決しようということです。

子どもがいない家庭、子育てを終えた家庭にも負担が

木本:月に480円なら、そんなに負担ではないと思いますが……。

藤沢:そう思っていただければいいのですが、子どもがいない家庭、子育てが終わった家庭にも負担になるので、発想の転換が必要だと思っています。民間の保険という感覚だと、これから子どもを持つかもしれないから、払おうとなりますが、子育てが終わっている家庭では、「なんで今さら払わないといけないの」という思いになりかねないですから。

木本:どんな発想の転換が必要でしょう。

『人生100年時代の国家戦略――小泉小委員会の500日』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

藤沢:子どもは社会を支えていく大切なもの。これまでの子育ては、「産んだ人の責任、家族の責任」が常識で、「なんで子どもを勝手に産んだのに、社会が支えなければならないのか」という意識があったと思うんです。それを転換して、子どもがこれからの社会をつくっていくのだから、子育てする人だけじゃなくてみんなで支えようよという発想に変えていかないと。

木本:みんなが親戚だという発想になればいいんですね。国民総親戚!

藤沢:お互い支え合う。だから小遣いをあげる。おじいさんおばあさんだったら、孫におもちゃをあげたりする感覚で払ってもらえるといいですね。

木本:僕は今40代半ばの年齢ですが、子どもの頃は長屋が多くて、隣の家だろうとみんな家族という意識でした。そんな感覚をもう一度持てるといいですよね。

藤沢:子どもを育てるのは大変です。「1人の子どもを育てるには1つの村が必要だ」ということわざがアフリカにあります。日本では子どもが生まれたら隣近所で支えるという長屋意識がなくなってしまいました。お母さん1人で育てなければならないような意識に、いつの間にかなってしまいました。

しかも最近は若い人の収入が年収で100万円下がってしまっています。だから、奥さんも働かないと暮らしていけません。でも子どもの面倒は見なければいけない、どうするの?というのが今の社会。もう一度、昔のように社会で支えるように戻る必要がある、という発想です。

木本:そうですよね。次回は、なぜ「こども保険」が必要なのかについて、詳しくうかがっていきます。

<中編に続く>

(構成:高杉公秀)

マネマガ
参考になったらシェア

引用元:東洋経済オンライン

同カテゴリの新着記事

画像
22日の債券市場見通し=株高に警戒感も売られにくい展開か

予想レンジ:債券先物中心限月(17年12月限)151.00円−151.15円、長期国債利回り0.02

画像
22日の東京外国為替市場見通し=ドル・円、引き続き小動きか

ドル・円予想レンジ:1ドル=112円00銭−113円00銭 23日は日米ともに祝日で米国勢を中心に手

画像
<今日の仮想通貨市況>ビットコイン連日の最高値更新

 21日のビットコイン(BTC)価格は一時1ビットコイン=8349ドル(約93万7140円)の史上最

画像
22日の東京外国為替市場=ドル・円、午後は上値重い展開

 22日の東京外国為替市場でドル・円は午後に入り上値の重い流れとなっている。前日の米国時間は材料難か

画像
<今日の仮想通貨市況>ビットコイン、米銀が先物の仲介検討と報じられる

 仮想通貨ビットコイン(BTC)は22日午後5時55分現在、前日比2.1%高の1ビットコイン=92万

画像
21日の商品動向、WTIの1月物が上昇、NY金は反発

・NY原油先物1月物 WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート) 1バレル=56.83ドル(


-