運動で健康になると信じる人の大いなる誤解特定の競技だけでは身体に偏りが出てしまう|マネブ

マネブNEWS:〔2017.10.23〕ドイツの小学生が「デモの手順」を学ぶ理由まず役所 現在の記事数:249803件

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運動で健康になると信じる人の大いなる誤解特定の競技だけでは身体に偏りが出てしまう


ジムへいきなり飛び込むのはOK?(写真:primagefactory / PIXTA)

先進医療が進むアメリカでも最新のリサーチが現場に定着するまでには17年かかる。拙著『世界の最新医学が証明した 究極の疲れないカラダ』でもいくつかに紹介しているが、日本にはその後に入ってくることを考えれば、われわれ日本人が当たり前に思っている健康常識も世界から見れば間違っていることもある。

腰や背中を痛めたときに医者から「筋力をつけなさい」と指導されることは多い。何もしていないのに「突然、首や腰が痛くなった」「疲れやすくなった」という人は、年齢が原因だと考える。たしかに、年齢とともに筋肉量や筋肉につながる神経量は落ちる。すると、筋肉の中にあるグリコーゲンの量が少なくなってパワーが出なくなる。血液循環も悪くなり、細胞の回復も遅くなる。いわゆる老化現象だ。

しかし、加齢によって不調が起こるわけではない。元々悪くなっていた部分の自己治癒が追いつかず、疲れやすさや痛みとなって表れるのだ。

そもそも人間は、まっすぐに立つだけでもポステリアチェーンというカラダの後ろ側の筋肉をフルに使用している。「何もしていないのにすぐ疲れる」のは当然で、日常生活の動作で軟部組織(筋肉・靭帯)のマイナーテア、すなわち細かい筋線維の故障、破れを頻繁に起こしているのだ。目に見える損傷はなくても、組織レベルでは硬く動きにくくなっている。普段どおりの生活を送っていても、私たちは思っている以上にカラダを酷使している。そこで回復スピードが追いつかず、壊れるとケガになる。

疲労回復のためにマッサージへ行ったり、休んだりすることで「疲れがとれた」というのは、ラクになっただけで、疲れないカラダになったわけではない。入浴すれば血行が促進されるので、すっきりした気分になる。疲れもなくなったように思えるものの、来週また元気に働けるカラダになったわけではないのと同じだ。

大切なのは、カラダのキャパシティ(機能運動性)を増やすことで、これはアメリカのプロスポーツ現場では当たり前に取り入れられている。

いきなりジムに飛び込んではいけない

ジムのマシンは筋肉を部分的にトレーニングするコンセプトでつくられていて、比較的簡単に使えるものの、健康体になるために全身の機能運動性をトレーニングするのには極めて不向きな方法だ。

人間の能力は狙ったとおりにしか向上しない。たとえばバランスボールの上に乗ってバランス感覚を鍛えたものが、日常生活で役立つかといえば、何もしない人よりはまし程度のものでしかない。大玉の上でジャグリングするサーカス団員には有効なトレーニングかもしれない。ただ、不安定な場所でバランスが求められる場面は日常ではほとんどない。地面に立って、バーベルを担いだほうが筋力を高めるにはよほど効果的だ。

トレーニングはすべて目的をもって行ったほうがよく、きつい、負荷を高めれば効くわけではない。単なる「運動」ではなくしっかりと目的を定めた「トレーニング」が必要だ。

寝たきりになりたくないと、週に何度もプールへ行って泳いでいる人もたくさんいる。たしかに水泳は負荷も軽く、骨にインパクトを与えないのでケガをしにくい運動だ。ところが、骨密度を維持できないどころか減らす可能性がある。寝たきり予防のために、一生懸命水泳していたものの、骨密度は一向に上がらないので骨粗しょう症になり、転倒して骨折したら入院生活でさらに骨密度が減るという悪循環に陥ってしまう可能性がある。

骨量は30歳をピークに年を重ねると減るばかりだ。それまでにいかに食生活や運動(負荷のかかるウエイトトレーニングなど)で骨密度の貯金がつくれるかが勝負だ。

ウルフの法則(Wolff’s law)といって、骨も筋肉同様に負荷を与えることで鍛えられていく。宇宙飛行士は筋力を維持するために、毎日かなりの量のトレーニングをするという話は聞いたことがあるだろう。骨も同様に重力を感じない水の中で運動をしてもまったく鍛えられない。骨密度を維持するためには、食事(カルシウムとビタミンDの摂取)、負荷をかけたトレーニング、日光に当たることが大切で、人によってはサプリメントを活用してもいいだろう。

1カ月で5キログラム痩せた人は不幸

「1カ月で5キロ痩せた!」といった類のダイエット商品の広告を目にするたびに同情してしまう。減量したければ、水も食事もとらずに激しい運動をすればいい。どんどん不健康に体重は減っていくだろう。

フルマラソンを走るとおよそ2500キロカロリー消費する。運動カロリーがすべて脂肪燃焼されることはありえない。しかし、仮にそのすべてが脂肪燃焼に使われたとしても約350グラムだ。もし体重50キログラムの人が1カ月で5キログラムのダイエットをしたとすれば、脂肪を燃焼させたというより脱水症状を起こし、筋肉量を低下させてしまったといえる。基礎代謝が落ちるので、太りやすいカラダになっているため、リバウンドを繰り返す。

ダイエットは今も昔もベースカロリー(1日に必要なカロリー)が基本の考え方で、毎日アイスクリームだけを食べていても、消費カロリーが摂取カロリーを上回っていれば自然と痩せていく。日本人はご飯3食の、炭水化物の摂取が多い食生活のため、とくに近年では糖質制限とランニングを組み合わせて、ダイエットに励んでいる人がいる。筋肉の回復に必要なたんぱく質や炭水化物が不足した状態で運動をすれば故障しやすくなる。

マクロビオティックやベジタリアン志向の人も健康だというイメージがあるかもしれない。ところが、野菜中心の食生活でたんぱく質が足りずにケガを起こす人は後を絶たない。ダイエットをしようとする人は、体重よりも筋肉量や体脂肪率を意識してほしい。栄養バランスのよい食事をしっかりと摂って、筋力トレーニングをすれば、体重は増えるものの見た目に引き締まったいいカラダになれる。

整体院に行くと、カラダをバキバキと鳴らされるので、ズレていた元の位置に戻してもらったと誤解している人も多い。もし骨がズレていれば、医学的には亜脱臼や脱臼だ。骨からボキボキ音が鳴っていたなら骨折を意味する。矯正といっても骨の位置を正しているのではなく、関節の動きを出しているのだ。音の正体は関節や軟部組織だ。

骨盤矯正や小顔矯正というのも解剖学的に見れば、軟部組織の過緊張を取り除き、低下している関節の動きを手技によって出しているといえる。骨盤はカラダでもっとも硬い靭帯でつながっていて、簡単にはズレない、頭蓋や顔の骨も動くことはほとんどない。

もちろん、見た目には姿勢がよくなる、痛みがなくなるといった現象が起こる。背骨や骨盤のまわりにはたくさんの神経、筋肉が存在するので、それらがストレッチされることで姿勢がよくなったり、痛みも緩和されたりする。

そもそも背骨が曲がっていない人などこの世にいない。左右対称ではない臓器を支える背骨がまっすぐであることに無理がある。背骨の10度以下のカーブは正常で、骨が異常な位置に飛び出しているわけでも、痛みの原因でもない。

運動をすれば健康になれるわけではない『究極の疲れないカラダ』(アチーブメント出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

昔はどんな競技でも万能の理想体型があるといわれていた。現代は競技種目に合ったカラダがはっきりしている。水泳ならトップクラスは皆、身長が高く手足の長い選手がそろっている。サーフィンのロングボードとショートボードの違いで、長くなればなるほど推進力が上がるからだ。ボクサーは腕(リーチ)が長く、アメリカンフットボールやサッカーなど、利き足で頻繁にキックする競技の選手は股関節の進展、屈曲に必ずといっていいほど左右差が出る。

スポーツをすれば健康体になれるわけではなく、特定の競技だけではカラダに偏りが出てしまう。この偏りはケガにつながることも多く、生涯元気に旅行へ行きたい、毎日快適に不調を感じずに働きたい、カラダのあちこちが痛くならないようになりたいのであれば、機能性を高めるために、自分の体重を使っておこなうトレーニングを少しずつ始めれば十分だ。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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