民進大串氏「安倍首相の抱きつき戦略は姑息」財源裏付けある「人への投資」を地道に訴える|マネブ

マネブNEWS:〔2017.12.18〕青函トンネルと新幹線「0系」の意外な関係世界最長 現在の記事数:253049件

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民進大串氏「安倍首相の抱きつき戦略は姑息」財源裏付けある「人への投資」を地道に訴える


「安倍首相は自らの政策の失敗に気づき、わが党に抱きついてきている」。民進党の大串博志政調会長は、党の「人への投資」戦略が正しいと主張(撮影:梅谷秀司)第11回は民進党の大串博志・政務調査会長。民進党の発足(2016年3月27日)から1年余り、蓮舫氏の代表就任(同9月)からほぼ8カ月が経つが、同党の支持率は低迷したままだ。1つのカギは政策だ。自民党政権が実行している政策の一部は、前民主党政権時代にできたものも少なくない。政権の後半、財務面から裏付けのある政策実現に向け実務側で汗をかいた1人が現政調会長の大串氏であり、与党や政府関係者の人望も厚い。はたして国民が刮目(かつもく)するような政策を出せるか。党の政策の取りまとめをする大串氏に、有馬氏が迫る。共産党と連立はしないこの連載の一覧はこちら

有馬:まず一つひとつの政策の中身を伺う前に、ここへ来て、東京都議会選挙(7月2日)での党公認候補(36人中14人)、衆議院議員の長島昭久氏(元防衛副大臣、党の東京都連幹事長)と、離党者が相次いでいます。民進党の人気が上がらないと、これからも離党者が後を絶たないのでは?

大串:自民党の安倍晋三政権の支持率が高い中で、あるいは小池百合子東京都知事が実質的に率いる「都民ファーストの会」の勢いを見て、「身を守りたい」との思いから、足元がふらつく人が出ているのはとても残念です。しかし、一方で、来る国政選挙に向けて、新人を含め候補者の擁立は着々と進んでいますし、「安倍政権の独走は目に余る」と考えている有権者は増えています。言われているほど、党の組織は脆弱ではありません。

有馬:離党した長島氏の理由は少なくとも表向きは「共産党との共闘は容認できない」というものでした。民進党は実際、どこまで共産党と組むのですか?

大串:(もし政権を取ったとしても)共産党と連立はしません。基本理念や政策が違うからです。民主党政権時代の弱点の1つは党の基本理念をうたった綱領がないことでしたが2013年につくりましたし、昨年3月の民進党結成に当たっては、発展させる形で新しい綱領をつくりました。民進党は「『生活者』『納税者』『消費者』『働く者』の立場に立つ。未来・次世代への責任を果たし、既得権や癒着の構造と闘う、国民とともに進む改革政党である」という位置づけを明確にしています。

そのうえで、安倍政権の独走を阻止し、選挙に勝つためにはシンプルな対抗軸をつくることが必要です。まずは民進党の政策と一致するところから、他の政党との連携を考えていくということであって、(共産党に基本政策を譲歩しているなどの批判は当たらず)、私たちの政策は一貫しています。

有馬:2009年に民主党は共産党以外の「反自民勢力」を結集して政権を取りましたが、その後、考え方の違いから社会民主党との連立を解消するなど「バラバラ感」が否めませんでした。今回も党内で「左右対立」があるなら、考え方の違う方々とはお互いにいったん分かれて、別々になったほうがすっきりするのでは?

大串:本来、政党にはいろいろな意見を持つ人がいていいはずですし、民進党は自由闊達に意見が言える政党で、そこが今の自民党とはまったく違います。しかし、民主党時代には国民から見てバラバラ感があったことは否めません。

いま、政調(政務調査会)の責任者としての私の役割は、そうした反省のうえに立って「議論を重ね、熟議を尽くして党の方向性を出す。決まったうえは、組織として一致して動く民進党にする」ということです。実際、安保法制関連法案などへの対応では、熟議を尽くし対案を示したうえで、一致して政府の法案に反対するなどの行動をとっています。バラバラだった民主党時代とは変わってきています。

安倍首相は「抱きつき戦略」をとっている

有馬:では、主要な政策についてお聞きします。少子高齢化、人口減少など日本の課題は明らかで、打つ手もおのずと限られています。民進党と自民党の経済政策では、根本的にどこが違うのでしょうか。

大串博志(おおぐし ひろし)/民進党政調会長。1965年8月31日生まれ。51歳。血液型はAB型。佐賀県杵島(きしま)郡有明(現・白石)町生まれ。1989年東京大学法学部卒業、同年大蔵省入省(理財局)。IMF日本理事室審議役としてアジア通貨危機問題に対処するなどしたのち、財務省主計局、インドネシア大使館一等書記官、金融庁などを経て2005年財務省を退官。予算編成にも携わり、財政悪化を目の当たりにして改革を成し遂げたいと政治の道を志す。同年衆議院議員初当選(佐賀2区、現在4期目)。民主党政権時代は2009年財務大臣政務官、2012年内閣総理大臣補佐官などを歴任。2013年民主党「次の内閣」農水副大臣、2015年衆議院予算委員会委員。2016年9月から現職。趣味はテニス・読書・ランニング・漫才を見ること(撮影:梅谷秀司)

大串:自民党は「大都市や大企業が強くなれば、地方も中小企業もその『おこぼれ』の恩恵を受ける」という「トップダウン型」のモデルを政策として採用しています。これは高度成長時代の古いモデルです。

一方、私たちの政策は「ボトムアップ型」です。なぜいつまで経っても消費は盛り上がらず、景気がよくなったという実感を得られないのでしょうか。ごく普通の給与生活者など「中間層」が細っているからです。細った中間層を増やすにはどうすればいいのでしょうか。民進党の答えは「人への投資」です。いちばんの目玉として打ち出している政策は「就学前から大学教育までの無償化」です。この「教育の無償化」には最大で約5兆円かかります。これからの若い世代が安心して家庭を持ったり、子育て世代がそれなりの消費ができるようにするには、人への投資が欠かせないのです。

民主党政権時代には財源の裏付けが弱く、高校の無償化までは実現しましたが、実現できない政策もありました。ここは大いに反省しなければなりません。今回は違います。消費税を8%から10%に上げる際、「2%の半分」である1%分、約3兆円弱を教育投資へ使おうという政策です。この3兆円弱に所得、資産課税の見直しによる財源も加えながら、段階的にではありますが、安倍政権とは異次元の規模で、「教育の無償化」を目指します。

「バラまきだ」との批判は的外れです。なぜなら2014年に2つの国際機関OECD(経済協力開発機構)やIMF(国際通貨基金)が別々に出したリポートでも明らかなように、分配政策を上手に行った先進国のほうが、格差が減り、経済成長率も高かったという結果が出ているのです。それまでは、安倍政権が行っている「トップダウンの成長戦略」を実行している先進国も多かったのですが、今ではこうした政策は時代遅れになってきているのです。

最近、安倍政権が「賃金の引き上げ実施要請」「働き方改革」などを言い出しているのは、安倍首相がその流れに気づき始めたからでしょう。私たちの政策に乗っかる「抱きつき戦略」を取り始めているのです。しかし、自民党は民進党の政策をまねした形で大学での「給付型奨学金制度」を創設しましたが、使われる予算はわずか200億円です。「バラまき阻止」を1つの理由にしていますが、考え方がまったく違いますし、これでは格差は縮まりません。

有馬:憲法改正や原子力発電、カジノの3つの政策についてもお聞きします。というのも、この3つは世論調査でも反対が多く、国民の支持を得ているとは言えないからです。民進党は憲法改正で本当にまとまれるのですか?

大串:まず憲法改正の議論ですが、まず自民党の憲法改正は、同党が野党時代の2012年4月に作った日本国憲法改正草案が基になっていますが、これは「憲法に従って政治権力が行使されるべき」「国民が憲法で政治権力を縛る」という立憲主義とはまったく相いれないものです。その点で、真の立憲主義を掲げる民進党の方針とはまったく違っており、受け入れることができません。

一方で、憲法の個々の条項について、国民の合意が形成できるなら、真摯な憲法論議を深めていくべきだと思います。

2030年代原発ゼロは自民党より「はるかに現実的」有馬 晴海(ありま はるみ)/政治評論家。1958年、長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立、政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰、国民にわかりやすい政治を実践(撮影:梅谷秀司)

有馬:原発はどうですか? 蓮舫代表は「2030年代までに原発全廃」だった党の目標を「2030年に全廃」と前倒しにしようと意欲を見せていましたが、最大の支援組織である連合との関係が一時ぎくしゃくして、事実上断念しました。

大串:「2030年代に原発ゼロ目標」は民主党政権時の「革新的エネルギー環境戦略」の一環として、いろいろな意見をまとめてできたものです。私が民主党の担当政務官だったこともあり、細かい経緯も知っているつもりですが、この「戦略」は、青森県等の立地県や、関連業界で働く方々、あるいは米国等とも連携をとりながら、熟議のうえ取りまとめたものなどを含めて、同意を得ているものです。方向性が出ていることには、何ら変わりはありません。

一方の自民党はどうでしょうか。同党の2030年のエネルギー政策では、総エネルギーに占める原発の比率が依然20~22%を占める計画になっています。しかし、使用済み核燃料の最終処分場をどうするのか、核燃料サイクルはどうするのか、自民党はあいまいにしたまま、民進党の政策を批判しています。これは不誠実です。

またカジノについては、2つの理由から反対しました。1つは「違法性阻却事由」です。つまり、本来ならカジノは「賭博罪」に問われ違法なわけですが、カジノを認めるならば、その違法性を否定する明確な理由が必要なのです。しかし自民党はその理由を明らかにしていません。もう1つは、ギャンブル依存症対策です。この対策もはっきりうたっていません。そのほかにも経済効果が検証されていないなどの理由があります。「民進党にはカジノの設立に原則として賛成の議員もいる。採決ではバラバラになる」と予測した人もいましたが、事前にこうした熟議を尽くしたので、民進党は一致して反対に回りました。むしろ与党の公明党がバラバラの対応だったのは、ご承知のとおりです。

有馬:安倍政権が打ち出している政策についてはすべてがダメというものではないにせよ、必ずしも国民が賛成しているわけではありません。閣僚や政務官などの失言も目立ちます。それでも安倍内閣の支持率は高位で安定しています。民進党の支持率は一向に増えません。民進党が有権者の心をつかめないのは、結局蓮舫代表の責任ですか?

大串:これは民主党が2009年から2012年まで政権を担った3年3カ月間における失敗が大きいと思います。失敗を払拭するのには長い道のりが必要かもしれません。「党名を変えたら?」とか「解党して出直したら?」という人がいますが、古い殻を便宜的に脱ぎ捨てても国民の皆さんには見すかされると思います。党勢を回復するには、魔法の杖などありません。血のにじむ努力をして、国民の皆さんに真摯に向き合って、法案や政策作りに汗を流し、実績を積んでいきます。それしかありません。

【有馬の目】「人材も政策もあるがないのは信頼だけ」、とは蓮舫民進党代表。「信頼回復の要諦は政策」と引き受けた大串政調会長。全員野球ができる政策を絞り出すことができるのか、大串政調会長にウエイトがかかる。

(構成:福井 純) 

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引用元:東洋経済オンライン

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