なぜか「すごい!」と言われる人の話し方正しいかどうかでは、人の心はつかめない|マネブ

マネブNEWS:〔2017.08.18〕17日の債券市場見通し=好材料揃って強含みの展開 現在の記事数:245953件

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なぜか「すごい!」と言われる人の話し方正しいかどうかでは、人の心はつかめない


日米のスピーチ事情や、話し方について聞きます(写真 :Graphs / PIXTA)品のないスピーチと言われたトランプ氏がまもなく大統領に就任します。内容はともかく、トランプ氏のスピーチが強かったのには理由があるのです。『アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書』の監訳を行なった狩野みき氏に、日米のスピーチ事情と、効果的な話し方について聞きました。米国は「話し手責任の文化」

スピーチについて、日本と米国で決定的に違うことがあります。それは米国は「話し手責任の文化」、日本は「聞き手責任の文化」だということです。

日本は聞き手責任、つまり相手の言わんとしていることを聞き手が「察する」ことでコミュニケーションが成り立つ文化であるのに対し、米国は話し手責任、言うなれば「話してなんぼ」の世界。言いたいことが相手に伝わらなければ、悪いのは話し手なのです。だからこそ、人の上に立つ人間は「パブリック・スピーキング」、つまり人前で伝える力、プレゼン力が必須と言われます。

たとえば、米メトロポリタン・オペラの前総支配人ジョゼフ・ヴォルピー氏は、大道具見習いからトップの座に登り詰めた、アメリカンドリームを絵に描いたような人ですが、彼が管理職に抜擢されたときにまずやったことが、パブリック・スピーキングの授業を受けることでした。

また、ハーバード大学の教授たちは、学生たちにより関心をもってもらえるよう、授業では工夫をこらして話すのは当たり前ですし、あのパウエル元国務長官も、士官学校で講師をやることになったときにはまず、生徒を寝かさないためのテクニック、声のピッチやボディランゲージ、歩き方などを徹底的に教わったそうです。

米国では、エリートになりたい人にとって、パブリック・スピーキングは必須のスキルなのです。

ではここで、今すぐできる「プレゼン力アップ法」を紹介しましょう。

今すぐできる「プレゼン力アップ法」

(1)プレゼンはコミュニケーション。着地点は「共感」

プレゼンはコミュニケーションです。プレゼンの着地点は、完璧なパフォーマンスをすることではありません。聞き手から望んだとおりの反応を引き出すこと、聞き手に共感してもらうことが着地点です。

そうである以上、単に「話す」だけではダメです。相手の立場に立って考えなければなりません。相手の立場に立って考えて話すというのは、皆さんも普段の会話で当たり前のようにやっていることです。たとえば、

・わざわざオチを先に言わない

・相手の反応を見て話す

・相手の目を見て話す

など。日常会話で自然にできていることが、いざプレゼンやスピーチとなるとできなくなる……という人が日本には多いようですが、とてももったいないことだと思います。

最悪なのは、「早く終わらせたい」という気持ちでいっぱいのプレゼン。そういう気持ちは、表情から、声から、聞き手に伝わってしまいます。早く終わらせたいコミュニケーションなんて、相手に失礼すぎるじゃありませんか。

(2)原稿を読まない

せっかく皆に集まってもらったのに原稿を棒読みするだけで終わらせるなら、プレゼンは取りやめにして、同じ内容をメールで送ったほうがいい。そのほうが親切というものです。

ケータイ、ネット、SNSなど、今の時代は相手に実際に会わずにやりとりできるコミュニケーション・ツールがたくさんあります。そんな時代に「会って話す」というのは、とてつもなく贅沢なことです。せっかく時間を割いて足を運んでくれるのです。相手の立場で考えたうえで、目を見て、「直接話すからこそ伝わる」ように話す必要があります。

原稿は、持っているとどうしても読みたくなりますから、原稿は「持ち込み不可」と自分に言い聞かせてください。本番では、最低限の内容を記したメモだけを持ち込んで話します。

プレゼンは、たとえ上司から押しつけられたものであっても、内容にそれなりに思い入れがなければ相手には響きません。「メモだけじゃ情報が足りなくて、うまく話せない」と思うようなら、思い入れ、準備が足りないのです。

トランプ氏のスピーチが響いた理由

では、トランプ氏のスピーチはどうでしょうか?

・簡単な言葉で、一文を短く話す

彼ほど簡単な言葉を使った大統領候補者もいないのかもしれませんね。基礎単語のオンパレードで、誰が聞いてもわかる、単純な構造の文が非常に多い。これは英語の「会話体」の特徴の1つです。

・文法的に間違っているからこその会話体

クリントン氏とトランプ氏のスピーチの違いは「書き言葉」と「話し言葉」の違いだ、とよく言われます。

クリントン氏は、書き言葉をそのまま口にしたような英語を話します。くだけた表現は使わず、文法的にも完璧な文章です。

皆さんもかつて英語の授業で、3つのものを羅列するときは「A , B and C」というように、最後の「C」にあたる部分の前に必ず and を入れる、と教わったと思います。でも、話しているときに最後の and を抜かすネイティブはけっこういます。羅列しているうちにどれがいくつ目なのか、わからなくなってしまうのですね。ところがクリントン氏は、どんなにたくさんの複雑なものを羅列しても、最後のandは抜かさない。

つねに文法的に100%正しく話すというのは「離れ業」です。でも、正しいからこそ、少々嫌味な感じに響くこともあり得ます。

一方のトランプ氏は、文法の間違いだらけ。選挙戦のときは、ツイッターでトランプ氏の「文法間違い」がよく話題になりました。しかし、この文法的な間違いこそ、「会話体」の大事な要素なのです。

会話をしているとき、人はあまり文法を意識しません。文が完結していなかったり、あるべき言葉が抜けていたり、たとえば日本語なら、「めったにない」とすべきところを「めったにある」などと言ってしまったりします。自分の会話を密かに録音して文字に起こしてみると、いかに文法的に「間違った」話し方をしているか、気づくと思います。

トランプ氏のスピーチは、まさに会話体です。「A , B and C」のandだけでなく、theが抜ける、動詞が抜ける、文が途中で終わる、はお手の物。まさに完璧とも言える会話体です。そのような彼のスピーチを聞いた有権者が「この人は、自分たちと同じ」と感じたとしても不思議ではありません。

・感情の言葉を使う

ここでもヒラリー氏とトランプ氏の違いが出ています。たとえば、ヒラリー氏が「those who will do harm」(害を及ぼすであろう人々)などと客観的な言葉を使うのに対し、トランプ氏は、「bad people」(悪い人たち)と、自分の価値観を前面に出した言葉を使います。

トランプ氏は普通、「雇用が悪化する」「仕事が失われる」などと言うところを、「仕事が盗まれる」と言いますし、「unbelievable」などの、あいまいで大げさな表現も好んで使います(これも会話体の特徴)。ヒラリー氏が客観的な言葉を使うのに対し、聞いている人の感情に訴える言葉を多用する。これも、彼の戦略だったのかもしれません。

『アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

・ジェスチャー

『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(日経BP社)などの著書もあるカーマイン・ガロ氏は、Talk Like TED(『TED 驚異のプレゼン』として日経BP社から邦訳あり)の中で「パワー・スフィア」(power sphere)という空間を提唱しています。

パワー・スフィアとは、話し手の目からへそまでの空間のことをいうのですが、手の動きをこのパワー・スフィア内におさめると、リーダーとして自信があるように見えるのだそうです。

トランプ氏は、2本の指を上下に動かす独特のジェスチャーで話しましたが、この手の動きは、まさにパワー・スフィアにおさまっています。

実は教科書どおりの伝え方

内容はともかく、トランプ氏は、聞いている人との溝を埋め、相手の心に訴えるような伝え方をしていたと言えます。

そして、トランプ氏の伝え方、言葉の使い方やジェスチャーは、実は米国のパブリック・スピーキングの教科書に書いてある「基本」に通じる伝え方でもあります(倫理的な問題などの点に関しては教科書からは程遠いのですが)。

たかが伝え方、されど伝え方。そのコツを知っておいて損はないと思います。

マネマガ
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引用元:東洋経済オンライン

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