「猫ひろし」売れない芸人に賭けた妻の真実リオ五輪出場の裏側には非難と歓喜があった|マネブ

マネブNEWS:〔2017.02.27〕虚妄の米ドル安路線 「貿易赤字削減」は偽情報だ 現在の記事数:230048件

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「猫ひろし」売れない芸人に賭けた妻の真実リオ五輪出場の裏側には非難と歓喜があった


芸人でありオリンピックランナーでもある猫ひろしさん(右)と妻の恵子さん結婚――。お互いに違う人生を歩んできた男と女が、一つ屋根の下で生計を共にし、家族になる。そこには独身のままでは体験できなかったであろう生活が待ち受ける。配偶者は結婚相手の人生も引き受け、運命が大きく変わることもある。TBSテレビが1月16日(月)よる7時からスタートする新番組『結婚したら人生劇変!〇〇の妻たち』は、同局の人気番組『プロ野球戦力外通告』『プロ野球選手の妻たち』を手掛けるスタッフが、夫を支える妻の姿を通して、夫婦の愛と葛藤に迫るドキュメンタリーだ。同番組は、昨年の秋・冬に特番として放送。その中で大きく反響を呼んだ、芸人・猫ひろしさん(39)と、その妻・恵子さん(39)がたどったリオ五輪・男子マラソン出場への道を紹介しよう。金なし!才能なし!人気なし!

出会いは、今を遡ること14年前。2人が24歳の頃に恵子さんの友人が開いた食事会だった。1人遅れてやってきた猫さんは恵子さんの隣の席に座った。当時の猫さんは、事務所にも所属していない、いわば芸人志望のフリーター。アルバイトでギリギリ食い繋ぐ貧乏生活で、女性と付き合った経験もないような男に、女性を口説くすべなどあるわけもなかった。

当然、恵子さんとも、ほとんど会話もなく、会はお開きに。そんな猫さんのもとにその夜、1通のメールが届く。なんと合コンの主催者に連絡先をきいた恵子さんからの挨拶だった。このメールをきっかけに、猫さんにとっては、人生初のデートを約束する。

それは恵子さんにとっては、あまりに衝撃的だった。待ち合わせをした2人。猫さんがまず向かった先は、消費者金融のATM。しかも、1カ所で入金したら、次はまた別の消費者金融へ渡り歩く。実は当時の猫さんの月収は、清掃のアルバイト9万円のみ。数社の消費者金融でお金を借りては、別の消費者金融の返済をする…そんな自転車操業で、消費者金融に100万円近い負債を抱えていた。

もちろん、そんな状態なので初デートも安い居酒屋。ムードのかけらもない。にもかかわらず、そんな居酒屋で、意外にも恵子さんは、心を動かされたという。初めて語られた「芸人になりたい」という熱い想い。夢に向かってまっすぐに走る。そんな猫さんに惹かれ、2人は交際を始めた。

2003年、芸人として勝負をかけるべく、猫さんは、久本雅美さん、柴田理恵さんなどを要する芸能事務所、ワハハ本舗に所属。「ニャー!」と叫ぶギャグを引っ提げてネタ見せ番組にも出場したが、「滑り芸人」のレッテルだけが貼られてしまうという状態に。

そんな時、転機が訪れる。それは、デビュー当時から付き合いのあるスタッフからの一言だった。「このまま続けても未来はない。何かお笑い以外でアピールできることはないのか?」 

鳴かず飛ばすの中、見つけたマラソン

その言葉をキッカケに、猫さんは自分自身を見つめなおす。幼い頃から勉強も運動も苦手。コンプレックスの塊だった猫さんが、思い出したこと。それは少年時代に、たった一つだけ自信を持っていた、マラソンだった。運動は苦手なのに、なぜかマラソン大会だけは毎年上位に入賞していたことだ。

猫さんは動いた。プロデューサーに自ら何度も頼み込み、ついに2005年、「TBSオールスター感謝祭」の名物コーナー、赤坂ミニマラソンの出場を決めたのだ。売れない芸人が人生をかけて挑んだミニマラソンで、猫さんは周りの期待を遥かに超えた激走を見せた。以来、同番組の常連ランナーとなる。

猫さんはマラソンという武器を得て芸人として躍進。ついに恵子さんとの結婚を果たした。TBSテレビ『結婚したら人生劇変!〇〇の妻たち』は1月16日よる7時からスタート

この活躍で足が速いというイメージが定着し、各地のマラソン大会にゲストで呼ばれるなど、芸人としての仕事が舞い込むようになった。2007年、売れない生活を支え続け交際6年目を迎えていた恵子さんと結婚。子宝にも恵まれ幸せを掴んだ。2008年には、赤坂ミニマラソンでついに念願の優勝も果たす。

ところが、この後、夫婦はさらなる大きな試練と戦うことになる。

コンプレックスの塊だった猫さんが、初めて手にしたマラソンという自信。新たな自分の可能性を見つけた猫さんは、走るたびにマラソンにのめり込むようになった。すると、わずか3年でタイムを1時間以上も縮める脅威の進化を遂げる。

海外のレースにも参戦し、カンボジアで行われた大会では、国内の有力選手が参加する中、準優勝を果たす好成績をマーク。そしてこのことが、思いもよらない事態をまねいた。なんと、猫さんの走りに注目したカンボジアのオリンピック委員会から、「国籍をカンボジアに変えてオリンピックを目指さないか?」と誘いを受けたのだ。

常識では考えられない突拍子もない提案だったが、猫さんは芸人人生をかけて、オリンピックにチャレンジすることを決めた。

無謀とも言えるこの夫の決断を聞いた恵子さんはやはり驚いたが、その熱意を理解し応援することを決める。ただ、そこには、どうしても拭い去れない不安があった。「日本の芸人が、他国の貴重な出場枠を横入りで奪っていいものか」――。

結婚後の2人には思わぬ展開が待ち受けていた

猫さんの戦いは始まった。カンボジア国籍を取得し、翌年、ロンドンオリンピックまであと6カ月と迫ったギリギリの期限で自己ベストを7分以上も短縮。カンボジアの代表条件をクリアに成功。翌月にはオリンピック出場が決定する。

しかし2人を待っていたのは、壮絶なバッシングだった。「芸人が他国の出場枠を奪った」と、元アスリートや文化人がこぞって非難。マスコミは連日、猫さんを追いかけ、さらには恵子さんの元まで押し掛けた。

恵子さんの危惧が、現実となって襲い掛かる日々。追い詰められ、事態は急展開を迎える。「国籍はあってもその国に一年以上滞在した実績がない」という理由で、猫さんは出場資格を取り消されたのだ。

一方、この発表で、猫ひろしバッシングは終焉を迎え、夫婦には静かな日常が戻りつつあった。

情熱は消えてはいなかった!

迎えた2012年、ロンドンオリンピック。男子マラソンがスタート。この中継を猫さんは東京でじっと見ていた。そして、言った。

「走りたかった」

元々は芸人のノリで挑戦したことだった。しかも4年後は39歳。もうオリンピックのことなど、キレイさっぱり忘れよう…そう思っていたはずだったが、テレビで選手たちの走る姿を見ているうちに、抑えきれない熱い思いがこみ上げてきた。それは、今度こそ、本当のカンボジア代表としてオリンピックを目指すということだった。

そんな夫の決断に、妻は「戸惑いはそんなになかったですね。一生懸命頑張っているのを間近で見てるから芸人活動頑張っていく延長線上のような感じだったので、そんなに不安は無かったのですが…、大丈夫なの?とは思いましたね。国籍変えてカンボジア代表になるとしたら、傷つく人はいないの?って、争わなきゃいけない人がいるんじゃないの?って」

次こそは、本当に最後の戦いだと強い決心をした猫さんは、真のカンボジア代表になるべく、家族と離れ、仕事以外の生活の拠点をカンボジアに定めた。見知らぬ土地で暮らし、ひたすらランニングに没頭する。

そこはやはり発展途上国。日本と違い、整備されていない道のいたるところに渦れた瓦礫、さらにいつどこで襲い掛かって来るかわからない野犬もいる危険地帯という悪条件の中、一人もくもくとトレーニングを重ねた。

支えになった家族の存在

そんな猫さんの心の支えとなったのは、やはり家族の存在だった。長女が生まれてすぐにカンボジアの長期滞在生活に入ったため、育児のほとんどは妻の恵子さんが一人で担ってくれた。妻とはスカイプを通じてやり取りを重ねた。

そんな妻の支えがあって、猫さんは4年間にわたってカンボジアでの1位をキープ。そして昨年5月、リオ五輪のカンボジア代表を決める最終レースで見事、トップでゴールイン!この瞬間、オリンピック出場を決めた。

2016年8月5日、リオ五輪が開幕。その開会式の様子を、恵子さんは日本から見守っていた。各告選手団が順々に入場していき、そしてカンボジアが入場。バッシングを受けたあの日から4年。テレビに映し出された夫は、多くの人から歓声を浴びていた。

猫ひろし、39歳。「カンボジアの人々のためにも、応援してくれる家族のためにも、全体に完走をする。」それが、このオリンピックでの目標であり、恩返しだった。

つらい局面の中でも妻は夫を支え続けた。TBSテレビ『結婚したら人生劇変!〇〇の妻たち』は1月16日(月)よる7時からスタート

迎えた男子マラソン当日。この日はあいにくの雨模様。夫の完走を信じる妻は、テレビにかじりつき、総勢155名の出場者の中に、夫の姿を見つけた。

いよいよスタート。最初こそ姿を確認できたものの、先頭集団にはいない夫は、その後テレビに映ることがない。カメラが再び夫の姿をとらえたのは12キロ地点。確かに、まだ走っている。しかし、その後、雨のせいかリタイアする選手が続出。そんな状況の中で、一向にカメラに映らない夫。妻の心配は募る。

スタートから2時間8分44秒。トップの選手がコールをきり、その後、日本の選手を始め、多くの選手が次々とゴールをし始める。その姿を見ながら、妻は思った。世界の一流の選手たちがリタイアする中で、夫は本当に完走できるのだろうか?そして、ついに夫のことは何一つ伝えてくれないまま、マラソン生中継は終了。あとは「ゴールしたら電話する」と約束した電話をただ待つことしかできない。時間だけが過ぎていく。

そしてマラソン生中継の終了から30分が過ぎた時、ついに、その瞬間が来た。リオ五輪の男子マラソンは、悪天候で15人もの選手がリタイアする中、猫さんは完走を果たした。

するとその瞬間、奇跡が起こった。145㎝という小さなからだで走りぬいたその姿に、大きなコールが沸き上がった。

「カンボジア! カンボジア!」

それは猫さんが真のカンボジア人として受け入れられ、夫婦の夢が叶った瞬間だった。

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引用元:東洋経済オンライン

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