「金鉱山」に殺到する女性たちの何もない生活経済的自由やチャンスがそこにはある|マネブ

マネブNEWS:〔2018.06.18〕有名プロ野球選手も多数常連の「聖地」居酒屋あぶさ 現在の記事数:261764件

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「金鉱山」に殺到する女性たちの何もない生活経済的自由やチャンスがそこにはある


マリの女性たちがこぞって金鉱で働きたがる理由とは(写真:Benoit Tessier/ロイター)

アフリカでの金鉱採掘は評判が悪い。特に女性に焦点をあてるとなおさらだ。この職業はほとんどの場合貧困、環境破壊、売春とハラスメントと直結している。しかし、世界で最も貧しい国であるマリの金採掘地帯では、このような見方は、男たちと肩を並べて採掘する女性たちにとっては大変不当なものでもある。

金鉱で働く女性がまず口にするのは、その過酷さと不確かさだ。最近マリに渡航した際に彼女らの何人かと話したが、彼女たちは数グラムの金を見つけるために岩を掘り動かすことの危険さをよく心得ていた。

金銭的自立と力につながる

しかし、そこで彼女たちが稼ぐカネは女性たちに金銭的自立と力を与える。それは村に居残り、彼女たちの夫の農園で働くことでは到底手に入れられないものだ。欠点はあれども、ローテクな職人的採掘は、ほかのほとんどのものからは期待できないほどに彼女たちに力を与えている。

それはただおカネが必要で、その手段が限られているということだけではない。重要なのは、彼女たちが得ているカネの出どころだ。それは父親のものでも夫のものでもない。彼女たちのものであり、これは女性がいまだに家族とともに住む村に従属している国では、大きな意味を持つのである。

女性はマリの金鉱採掘場の全従業員の約半数を占めるほどになっている。この比率は、ほかのアフリカのサハラ以南の地域とさほど変わらない。マリの南西に位置するケニエバの採掘場、あるいは周辺で、筆者はブルキナファソ、セネガル、ギニアなどの隣国からやってきた女性たちに遭遇した。

こうした国では、女性の土地、あるいは労働における権利はマリと同等である。西アフリカの多くの女性たちが金鉱採掘者の仕事を探しているのであれば、研究者と政策立案者たちは、これを新たな生活様式の1つだと受け入れ、土地の権利と採掘職人とのつながりを理解するよう努めるべきだ。マリにとって採掘業がちゃんとしたおカネや雇用を生み出す数少ない産業になっているのであればなおさらである。

金鉱そのものは子供の立ち入るべきところではない。にもかかわらず、多くの女性が赤子を連れて金鉱へ入っていく。それは潜在的報酬があまりに高く、リスクをしのぐからだ。浅い砂利の穴で採掘している1人の女性が筆者にこう言った。「採鉱は農業より難しいが、ずっと報酬がいい」。

ほかの女性たちも口々に言う。生活費はつねに発生するが、農業の場合、おカネが入ってくるのは年に1回か2回で、季節性も高い。こうした中、政府が何度も収穫期に採掘を禁止することを試みたにもかかわらず、人々はケニエバで一年中金を掘っている。

女性たちの目的は「不動産」

マリの多くの女性採掘者にとって、最終的な目標は不動産である。自分たちの子供に渡すことのできる彼女たちの名前の付いた土地は、一夫多妻の世帯では特に重要である。夫が亡くなったとき、相続財産の公正な分け前をもらえる保証がないからである。裕福になれば、自分の土地に賃貸物件を建て、農業では得にくい、安定した収入を確保できる。

マリ人の同僚と共同で、ケニエバの採掘者の調査を行った結果、金を採掘して収入を得ている女性のほとんどが、将来的に農業をするつもりがないことが判明した。これは男性採掘者の多くが農業機械を買ったり、畜産経営を始めるために貯金するのと対照的だ。

採鉱は、いまだに女性たちに不利益をもたらしている土地というしがらみから逃げ出す可能性を与えているのである。気候変動も脱出の必要性を高めているかもしれない。

西アフリカ・サヘルの男性農場主たちは、自分たちの妻や女性の親族を、彼女たちがこれまで耕していた土地から立ち退かせ始めている。これらの土地は、夫たちの土地よりも低地で湿度が高い傾向があるからだ。

若すぎる年齢での結婚や教育を受けていないことなどはハンディキャップになるが、未婚の若い女性たちにとって採鉱は、数カ月から数年後に自立した暮らしができる転換点となり得る。マリでは近年ますます離婚が一般的になりつつあるが、採掘は離婚女性を極貧から救うチャンスを与えるのである。

正しい方向への大きな一歩ではあるが、採鉱は女性たちにとって完璧な解決策ではない。マリの金鉱はまだまだ男社会だ。鉱石は素手で30m近い深さの縦坑から取り出される。女性たちはこれらの仕事と、これに伴うより大きな収入から例外なく締め出される。

500ドル以上稼げることもある

実際に、女性たちはフリーランサーで、鉱石から金を取り出す機械まで頭にのせて運ぶたらい10個のうち、1つが自分たちの取り分となる。それでもなお、幸運な「待遇」により500ドル以稼げることもある。家でピーナツや果物を売ることで得る1ドル、2ドルとは大違いだ。

多くの女性にとって、採鉱を通してカネを稼ぐことは男性にコントロールされた、一族支配の土地所有の図式からある程度解放してくれる。アフリカの農業を後押ししようとするグローバルな試みは、このような生活上の矛盾を単純化しすぎる傾向にある。それはたとえば、アフリカの田舎でやっていくのに必用な日常的な政治的やりくりを変えることに失敗する法令など、効果のない方策によってもたらされる。

アフリカの女性が本当に必要としているのは、政府や援助提供者になぜそんなに多くの女性が採鉱に携わり、それを将来どう役立てようとしているかに気づいてもらうことである。

ケニエバのような、明らかに発展展望と女性の選択肢が欠如しているような地域では、採掘が最も確度の高い経済的自由と将来のチャンスへの糸口なのである。こうした理由から、われわれもこの話を少し違った視点で見てみるべきなのだ。

著者のリーフ・ブロッテム氏は、アイオワ州グリネル・カレッジの国際開発学部の准教授。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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引用元:東洋経済オンライン

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