中国の方針転換が世界中の反感を買っている習近平氏が渡ろうとしている「危ない橋」|マネブ

マネブNEWS:〔2018.10.23〕23日の債券市場見通し=軟調地合い、米債券安波及 現在の記事数:287354件

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中国の方針転換が世界中の反感を買っている習近平氏が渡ろうとしている「危ない橋」


国際的な注目を浴びないように努めてきた中国だが、習近平氏が国家主席になってからその方針は一変した(写真:Mark Schiefelbei/Pool/ロイター)

一世代前の中国の発展は目覚ましいばかりで、国際的な枠組みの外側にあった国がその中心となり、貧しい辺境の地からあまたの富と権力を有する地位にはい上がってきた。国際問題には「身を潜める」方針で臨むことで世界第2位の経済大国となったものの、その戦略が作り上げた状況も変化している。そして中国に対する反発がそこかしこから始まっている。

習近平国家主席のもと、中国政府はつねに攻撃的かつ態度を明確に示した外交政策を推し進めており、歴代の国家主席が慎重に避け続けてきた「注目」を集めている。中国からの投資や、中国とのかかわりをほんの数年前は歓迎していた国々も、今では中国からの影響力に対抗するために結集し始めている。

「目立たぬこと」を心がけてきた中国

国際社会が中国の興隆を受け入れようとし始めたのは冷戦終結の時である。ソビエト連邦の崩壊を受け、西洋の国々、なかでも米国は自分たちが作り上げたと信じる世界秩序に新たな国々を加えることに積極的だった。

1990年代を通じて、通商の自由化を進める力と、ソビエト社会主義に対する西側の勝利が「歴史の終わり」を宣言したというフランシス・フクヤマの論文に対する信頼は絶頂を迎えていた。その結果、中国の独裁体制に対する懸念は西側諸国の政府の間では一様に棚上げされた。ことさら米国は、中国の世界貿易機関への加入を推し進めた。

これがやがて中国の経済成長をもたらす転換点となる。21世紀に入って、米国の戦略的関心の中心は、イスラム教徒によるテロ、中東およびアフガニスタンに移り、欧州諸国ではユーロと欧州連合(EU)の成長に意識が向けられるようになった。日本だけが一世代前の中国の権力に対する野望について戦略的な焦点を当て続けていた。

こうしている間にも、中国政府はたくみな舵取りを行っていた。数十年前にさかのぼるが、最初の経済改革を実施したとき、1997年に死去するまで中国の指導者を務めた鄧小平氏は、彼の後を継ぐ世代の指導者たちに対し、国際的に目立たぬようにするよう力説した。

「韜光養晦」(「自らの力を隠し蓄える」という意味であるが、一般的には「身を潜めて時を待て」と訳される)のスローガンを信奉し、これ見よがしに権力をひけらかすことのないよう訴えた。諸外国とわたり合える立場になるまでは、自国の努力を外国に気づかれないようにするためだった。

外交では明確な態度は避けながら、中国は2国間の焦点を通商と投資にしぼった。一貫して「ウィンウィン」の協力を呼びかけ、友好関係を築いていった。国連では、西側諸国の行為に関する争議についてはロシアに主導権を譲った。イラク戦争に対して国際社会が反発したときには、中国政府は国際社会に賛同する姿勢を見せ、2003年に中国と欧州間で戦略的パートナーシップを立ち上げることまでした。米国一極主義に対する第2の手段を意図したとも考えられる。

2009年には新興国のためのBRICs首脳会議を創設し、「中国は信頼できるパートナー」なのかどうか、といった議論が発展途上国にまで拡がりをみせた。増え続ける富と国力にもかかわらず、この時代を通じて、中国政府は、パートナー国の懐疑派を思い通りにさせないようにする意図が見透かされない程度の曖昧さを身につけていた。オーストラリアの鉱山から西洋の大学における孔子学院にまで、その論争は拡がり続けた。

過去5年ですべてが様変わり

ところが、過去5年で、ほぼすべてがあっという間にくつがえった。遠回しの外交的助言は注目を集める提言に変化した。戦略的曖昧性は、国際的な軍事拠点や大規模軍事訓練、派手な行進や隣国との睨み合いと引き換えに姿を消した。

国家が貸し付ける大規模なローンを背景として、中国企業は国際的な爆買いに走り、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルやゼネラル・エレクトリック(GE)、ボルボといった一連の有名ブランドを買い漁った。これにおそれをなした西側諸国の立法者の中には、買収されてしまうと貴重な商業資産が中国政府の影響下に置かれてしまうのではないかと心配する者もいた。

アフリカでも、中国からの出資はパートナーシップや投資を目的とするものとは言えず、むしろ資源が豊富な国々に対して中国政府が露骨な影響力を手に入れ、不当労働行為を持ち込もうとしているのではないかという懸念が拡がっている。

2017年後半に中国共産党での基盤を盤石にした後、習主席はこのような変革を加速させている。中国共産党中央統一戦線工作部は国外の大学で中国人留学生の振る舞いに対してガイドラインの適用を開始した。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国人教授らの発言によると、9月には、同校がダライ・ラマを卒業式でのスピーチに招いた後、中国教育省の一部門が彼らの資金を凍結した。これは中国共産党の教義に反する考え方を抑制するために中国政府がとった手段の一つと解釈されている。

そして決定的なのが、習主席の提唱するインフラ構想「一帯一路」である。莫大な金額の対外計画投資を包括した用語である。最近では、スリランカの地元企業が中国の要求する過度の負担付き契約を不履行としたことで、スリランカの港の所有権を取得するに至った。現地での抗議が高まったことで、中国とスリランカの今後の協力体制に照準が当たり、中国からの投資を受けるそのほかの国々にとって警戒心を呼び起こさせた。

中国は、1つ前の世代では提携と「西側帝国主義」への抵抗というイメージを築いてきたが、習主席はそれを投げ捨て、自国の行動が世界でどのように受け止められるかということには関心すら示さない自信のある尊大な大国といったイメージを選んでいる。

明らかに、これこそが、中国共産党の利益にかなうものだと判断してのことである。党は国家主義者の言明を党の国内基盤を強化するために用いることはよくあることだ。

世界の国々が中国に不快感を示している

こうした中、米国では貿易面での反中感情が膨れ上がっており、米政府の新たな戦略上の指令では、かつてはもっと穏やかな言葉が使われていたが、中国を敵対的な「修正主義大国」と認めている。カナダとオーストラリアの政治家らも、中国による国内問題への介入について不快感を露わにしている。

オーストラリアでは、中国関連のビジネスマンからなされた上院議員への支払いをめぐる最近のスキャンダルを受け、政府が外国人によるオーストラリアの政党への寄付を禁止する計画を発表している。

広範にわたる一帯一路構想の一部となるパキスタンは通常なら友好国であるが、中国からの過大な約束と過少の実行の矛先となっている。中国・パキスタン経済回廊として知られる計画において3つの主要なパキスタンの道路への資金供給を突然停止したと報道されている。今週に入って、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は中国を公に非難する行動をとり、一帯一路構想は「新たなる覇権となってはならず、そうなってしまえば、そこを通過するものは皆家臣に変えられてしまう」と述べた。

中国が過去にその動機や目的について、西側諸国と発展途上国の両方から疑いの目を向けられることはなかった。中国政府の外交は批判に対峙するよりも、それをはぐらかせたり、そらせたりすることに経験上長けている。

中国共産党の内部方針は「核心的利益」をほぼ絶対的に保護することである。これは、世界中に対して外交的懸念を発している国にとってよい前提ではない。中国政府がこの向かい風をどう処理するかで中国がどんな国になろうとしているのか、そして世界において新しい役割をどのように担っていこうとしているのかが見えてくる。

著者のピーター・マリノ氏は、ニューヨークに拠点を置くシンクタンク、メトロポリタン・ソサエティの創設者であり、グローバル・ナラティブ協会のシニア・リサーチャー。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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引用元:東洋経済オンライン

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