東京出身者に「激しい上昇志向」がないワケ丸山茂雄氏「東京生まれはノホホンとしてる」|マネブ

マネブNEWS:〔2018.01.23〕22日の債券市場見通し=金利上昇余地は限られる展 現在の記事数:254999件

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東京出身者に「激しい上昇志向」がないワケ丸山茂雄氏「東京生まれはノホホンとしてる」


東京生まれの人でスタイリストを職業にしている人はいない…っていうのが昔からの俺の持論でね(筆者撮影)1967年にCBS・ソニーレコード設立と同時に入社し、EPIC・ソニー、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)などの創業立役者として活躍した丸山茂雄氏に現在の音楽産業、日本の産業のこと、そしてソニーのことなど、広範な話を聞いた。ロングインタビューを3日連続でお届けする。酔っぱらうっていうのが面倒くさくなってきた

黒川:丸(まる)さん、こんにちは、今日は朝からずっと会議ですか。

丸山:いやいや、これが今日一発目のアポイントだよ。もう俺は76歳だぜ。午前中は仕事なんかしない。これがいちばんいいんだよ。

黒川:そうですか(笑)。

丸山:今のスケジュールの埋め方を言うとね、まず夜の会食。会食っていうほど大げさなものじゃないな。メシでも食いながら話そうかっていうのを最初に入れる。で、その会食の手前のところで仕事。最初の仕事を入れるんだったら、そこだよね。

でも、やっぱり現役のヤツらは忙しいから、なるべく合わせるようにってことになると午後1時とか2時とかになるじゃない。そうすると、そのあとポコっと時間が空いちゃうから、午後4時とかその辺にもう1個予定を入れる。だから午後に2個、夜に会食が1個。それ以上は入れないよ。

黒川:どこかで書かれていましたよね。もう午前中はあんまり仕事をしなくて、午後に1個か2個。でも、僕は1個にしたいんだと。

丸山:そんなこと言ってたかな……?

黒川:言われてましたよ。どうしてもっていう場合は午後に2件入れて、だいたい夜はお客さんとかとご飯を食べに行くと。で、夜9時半か10時に家に帰って15分ぐらい寝る。そうするとスカっとするんで、そのあとにメールを見たり音楽を聞いたりしていて、最近は音数の少ないジャニス・ジョプリンをよく聞くとか。なので、寝るのは深夜の1時ぐらいだとおっしゃっていました。今も変わらない感じですか?

丸山:ちょっとスタイル変わっちゃって。あのー……酒やめたのよ。

黒川:本当ですか? それは何年ぐらい前から?

丸山:やめたのはここ半年くらい。俺が酒を飲みだしたのは30歳くらいからだけど、最近は酒を飲んで酔っぱらうっていうのが面倒くさくなってきたというか、けっこう疲れるなあっていうときがあって。ソニー・ミュージックの元社長の北川(直樹、ソニー・ミュージックエンタテインメント元代表取締役。現在は顧問・コーポレートエグゼクティブ)ってのがいるんだけど、アイツと付き合うと本当に無駄な時間を過ごしてるなって思うんだよね(笑)。

飲み始めて1時間ちょっとすると酔っぱらって(話が)ループに入るんだよ。対談相手の俺のことを置き去りにして自分だけで盛り上がってるのよ。すごい楽しそうに話すし、面白い話ではあるから一応付き合うんだけど、そうすると深夜の2時ぐらいまで平気で続けるんだよ、アイツ。しかも、もう20回ぐらい聞いた話をずっと(笑)。

黒川:それはちょっと大変ですね。

丸山:そうだろ? それでも北川は面白いし、憎めないから付き合っていたんだけど年を取ってくるとね、翌日すごい疲れるのよ。こっちはそんなに飲んでないっていっても多少は飲むしね。なんの意味もないなあって思い始めて。それで、前は帰ったらちょっと寝て、また起きてっていうのがあったんだけど飲まなければ寝ないよな。

生活スタイルはずっと同じ

黒川:なるほど。家に帰ったあと、ちょっと寝るっていうのがなくなったんですか。

丸山:そうそう。だって、飲んでないんだもん。そうしたらそのまま起きてるじゃない。それで1時前には寝ちゃうよね。もう本当に北川のバカヤロウには何時間無駄にさせられたかっていうね。あの酔っぱらいには本当にまいったよ(笑)。

丸山 茂雄(まるやま しげお)/1941年生まれ。1966年、早稲田大学商学部卒業。読売広告社を経て、CBS・ソニーレコード設立と同時に入社。EPIC・ソニーの創始者であり、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)会長、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)社長などを歴任。247代表取締役。近著に『大往生』(ダイヤモンド社)(筆者撮影)

黒川:北川元社長はやっぱり昔のお話をされるんですか。

丸山:いや、今の話。ただ、北川も肺に水がたまったか何かして、医者から少し注意しろって言われてからピタっと(酒を)やめやがってね。今はビールをコップ1杯ぐらいしか飲まないんだよ。だから、今の北川と付き合うのは楽だよね。

黒川:丸さんは本当に生活のスタイルが変わらないですよね。僕が以前に聞いていたSMEの頃の丸さんのライフスタイルは、日中はデスク仕事をするけど、夜は山下達郎さんとか、付き合いのあるアーティストのコンサートやライブハウスに行くっていう感じだと……。

僕がデジキューブにいたとき、渋谷のイタリアン・レストランに連れていっていただきましたけど、多分その頃からスタイル的には大きく変わってないですよね。

丸山:変わってない。進歩がないってことかな、ハハハハ。

黒川:いやいや、それはすごいことですよ。

丸山:すごいのかどうかはわかんないけど「ああ、なるほどな」って思ったのは、オレ東京生まれじゃない。

黒川:千代田区飯田橋のあたりですよね。

丸山:そう。それで今も東京にいるんだけど、東京生まれの人間は激しい上昇志向がないのよ。

黒川:僕も東京の上野生まれですが、わかるような気がします。

丸山:地方から出てきた人は、やっぱり東京という大都会に負けたくないっていうのがあるからね。もちろん、人によって濃淡はあるけど、ある程度の上昇志向がないと大都会に負けるじゃない。

黒川:戻りたくないというのもあるでしょうしね。

丸山:そう、戻りたくないってのもあるよな。その点、東京生まれはノホホンとしてるよね。学生時代もそうだし、社会人になってからも、しばらくの間は親元から通うわけだから住・食は確保していて、さほど経済的に苦しくないっていうのがあるんだろうな。そんなだから自分で作ったスタイルを崩さないんだよ。そういった上昇志向がないってことは基本的には現状維持ってことだからね。

黒川:あぁ~、同意できます。

生まれ育った町内を大事にしないでどうする?

丸山:ところが、現状維持のまんまじゃダメだ、人とは違うことをしなきゃいけないっていう思いも一方であるわけ。その部分を極めて強く意識するっていうのはあるよね。周りと同じじゃ面白くねえよっていうのが……。多分、そういうふうに思うか思わないかってのが東京人の分かれ目だよね。

黒川:そこに気がつくか、気がつかないかっていうのはありますよね。

丸山:そのまんまでいても、それはそれなりに幸せなわけだからね。でも、それはちょっと違うなって思うことも……俺の場合はそうだったよね。まあ、俺が同じ店に通い切るっていうのは単純に言えば……江戸時代とか明治時代の部分でいうと町内で消費するっていうことだよな。

新しい店を探して、そういったところにどんどん行くってのはどうよというか、町内で生まれ育ったんだから町内を大事にしないでどうするんだっていうのがすごい強いのよ。そういうのが、心のどっかにあるからね。だから、同じ店に通うわけだけど、そうするとね。地方から来たヤツらが俺のことをバカにするんだよ(笑)。

黒川:「また、そこに行ってるんですか」とか「こっちのほうがいいですよ」みたいなことを言う人はいますよね。ただ、僕はそう言いたくなる気持ちもわかるんですよ。

丸山:多分、この部分をものすごく丁寧に説明したのが橋本治さんの『知性の顚覆(てんぷく)―日本人がバカになってしまう構造』(朝日新書)。大好きな作家なんだけど、あの人も東京生まれなんだよ。

そういえば、東京生まれの人でスタイリスト(テレビ、雑誌などの出演者のファッションなどを準備してコーディネートする仕事)を職業にしている人はいない……っていうのが昔からの俺の持論でね。スタイリストを職業にしている人っていうのは、東京以外の出身でさ、いささか野暮ったい人たちで、かっこよくなりたい人たちが目指すような職業なんじゃないかと思うんだ。

黒川:キビしいことを言いますね(笑)。でも、よくわかりますよ。

丸山:そうじゃないとスタイリストにはなれないんだよ。そもそも東京っていうのはほとんどが地方から来た人で、そういう人たちは新しいモノを勉強したがる。でも、東京生まれはそんなの勉強したくないんだから。

黒川:確かに、最初から全部ありますからね。

丸山:そう、あるんだからね。

黒川:東京ネイティブですね。デジタルネイティブじゃなくて東京ネイティブ。

丸山:そうそう、ネイティブだからね。だから、俺はTHE MODS(ザ・モッズ)の森山(達也)に言ったことあるのよ。いわゆるモッズスタイルで、クサリをじゃらじゃらやってたけど、お前は九州から出てきたからそういうカッコができるんだと。佐野元春とか東京生まれのミュージシャンを見てみろ、みんな地味だぞと。東京生まれのミュージシャンは基本的に自宅から来ていて、近所のおじさんやおばさんに「あの子はなんてカッコしてるんだろう」って言われちゃうから地味なんだよ。

黒川:そういえば、そうですね。

丸山:そう、みんなね。お前みたいなカッコしてないんだよって、アハハハ。

黒川:そんなこと言ったんですか。

丸山:言った、言った。

黒川:すごいこと言いますねえ。

丸山:だから、東京生まれはそういうふうになっちゃうんだけど、でも地方生まれのよさっていうのもあるわけだから。

黒川:だからこそ生まれるものもあります。

かつて東京に出てくるっていうのは大変だった

丸山:そう、あるからね。だからロックバンドってね、当時は基本的に博多なら博多で止まってたほうが強かった。ライブハウスも「照和」とか、その地方独特のものがあった。東京も東京で流動性がなくて止まってて、80年代の頃ってそんなに行き来がなかった。せいぜい大阪の連中ぐらいで、地方から出てくるっていうのは至難の業だったんだよ。

黒川:そうでしたね。

丸山:チューリップの「心の旅」とか太田裕美の「木綿のハンカチーフ」とかが象徴的だけど、東京に出てくるっていうのは大変だったわけじゃない。そういう状況が音楽にもちゃんと反映されてたよね。でも、90年代に入ると東京に出てくるのが簡単になって、中央との文化の違いをどうやって埋めるかっていうことが詞のテーマとして成立しない時代に入ったんだよ。

黒川:みんな均質化しましたよね。

丸山:均質化して、同時に「こんちくしょう」っていう上昇志向が薄れたよね。それで、日本の音楽ってのは停滞期に入ったんだと俺は勝手に分析してるわけ(笑)。

黒川:それは僕もすごく共感します。雑誌が特にそうでしたが、情報の流通の高速化というところとシンクロしますよね。

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引用元:東洋経済オンライン

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